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第59話
そのくせ、ショウの質問にまともに答えてもいない。
はぐらかしたわけではないが、普段、彰人は自分の職業をあまり人に言わないようにしていた。理由は、言って嫌な思いをすることが多々あることと、仕事の内容を人に説明することが不得手なためだ。国から地方自治体に交付する補助金の執行管理が主な業務だと告げて、それで見当が付くのはおそらく同業者くらいだ。
でもあの答え方ではきっといやな思いをしているだろう。ショウは自分の夢までも話してくれたのに。
「専門学校に行きたいのか……」
大学を卒業して試験だけで就職し、流れるように今の職場にたどり着き日々の仕事に追われる自分には、正視できないほど眩しく思えた。望みが叶うといい。学費なら出してあげる、と無神経なことを口にしてしまいそうで、彰人は言葉を飲み込んだものだ。
そしてまた一週間、会えるまで待つのだ。
毎日でも会いたい。次に会えるまで一週間は待ち長い。
彰人は思い切るように立ち上がって、ベッドのシーツをはずしにかかった。このままでは延々と一人反省会をしてしまいそうだった。
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