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第7話

 ……どうしよう。どうしたらいいんだろう……。  冷たいシャワーを浴びながらこれがなんとか夢であってくれないかと願うけど、やっぱ無理だよね。目が覚めたら、兼子君と二人ベットの上で裸で寝ていた。昨日は気分がすごく良くて、ついたくさん飲んでしまって途中からの記憶がほとんどないけど体中に赤い跡がついてるし、これで何もなかったなんてわけないよね…… 絶対自分から迫ったに決まってる。酔っ払ったおじさんから言い寄られて気持ち悪かっただろうな……もしかして立場を利用して脅したりしたんだろうか……完全にセクハラだしパワハラだ。二日酔いで頭はガンガンするし、最悪な気分だった。  とにかく謝るしかない。覚悟を決めてバスルームを出てリビングに戻ると兼子君が座っていて、こっちを見た。 「おはようございます」 「ごめん! 本当にごめん!」  目が合わせられない。完全に僕が悪い。あーーもう自分が本当に許せない。 「なんで謝るんですか? 紀伊さんはだいぶ酔っ払ってたけど、俺は正気でした。だから紀伊さんが泥酔していることにつけ込んだのは俺の方です」 「ちょ……ちょっと待って」  いや、ちょっと待っておかしい! 夢の続きなのかな? そんなことありえないし、あまりに自分に都合良すぎる。 「この業界ゲイの人多いんです。だからわかるんですけど紀伊さんそっちの人ですよね?」  バレてたんだ……。 「その、自惚れているって思われてもいいんですけど……紀伊さんも俺のこと少しは良く思ってくれてるって感じてました」 「……ちが、違うよ! 昨日はその……すごく酔っ払ってて……そう、付き合ってる彼と間違えたんだ。ごめん! 僕は本当に最低だ」 「恋人がいたんですか?」  兼子君の表情が一変した。すごく怒ってる。恋人がいるのに若い男に手を出したっていう最低さも一つ乗ったな……。  あーーもう最悪。好かれなくても嫌われたくは無かったのに。  でも、もう仕方がない。もう、とことん嫌われるしかない。 「そう、もうすぐここに来るんだ。ごめんね。だから帰ってほしい」

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