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第10話

 みんなから文化祭の招待状が届いたけど仕事を理由に断った。  しばらくするとみんなの作品の写真がたくさん入った封書を送ってくれた。花もたくさん作ってくれていて作品の随所に使われている。すごい上手だし若々しい感性の作品ばかりだった。ここでの研修をみんなちゃんと自分のものにしてくれていて嬉しい。  行きたかったな……でも今年だけは行くわけには行かなかった。  兼子君の写真もあった。工房で作っていた白い花を大きな花冠にして肩からかけていた。白いスーツを着て花道を歩いている。  モデルみたいだ。すごく似合ってる。  自分の馬鹿な行動のせいで行けなくなっちゃたけどみんなの作品、直接見たかったな。  みんなも頑張ってるんだ。僕も頑張らないと……休憩を終了して作業に戻る。個展までもう一ヶ月もない。没頭しよう……これに集中していれば何も考えずに済む。  今年は大きな百合をメインに作ることに決めた。彼から感じたあの強い芳香がみんなにも伝わるような……闇夜に溶けるような漆黒の百合。黒い花は今までほとんど作ったことがないけど挑戦してみたい。単色だけど艶のある、香りまでも感じてしまうような美しい花を咲かせてみたかった。

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