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第2話(5)
「俺も髪染めようかなぁ……」
湯船にもたれ掛かって呟くと、
「おばさん泣くぞ」
浴室のドアが開いて、俺は飛び上がった。
「んなっ!ちょっ!はぁ!?」
ザブッと顎まで浸かって創介を見ると、創介はフッと笑ってドアに手を付いて立っている。
「ただいま」
「お、おかえり……って、開けんなよ!」
口を尖らせて文句を言っても創介は全く気にしていないらしい。
いや、男同士だし、今まで旅行とか一緒に風呂も入ってたんだけどさぁ。
「は?帰って来て洗い物とか終わっても全然出て来ねぇから見に来てやったんだぞ?」
「へ?今何時?」
「9時過ぎ」
……俺、どんだけ風呂入ってんだよ。
さっさと寝ようと思ってたのに、むしろバッチリ風呂を見られていて俺は身を竦めた。
「お前、顔真っ赤だけど……大丈夫かよ?」
「大丈夫だから!向こう行ってろって!」
言ってからちょっと言い方がキツいとは思ったけど、創介は笑いながらドアを閉める。
閉まったのを確認して立ち上がった俺はめまいを感じて……更に軽い気持ち悪さも襲ってきてゴンッと思いっきり壁に頭をぶつけた。
「おいっ!雄吾!!」
音を聞いてすぐに創介が入ってきて抱えられるように風呂場から出る。
バスタオルを掛けられても前髪を除けて顔を覗き込まれても、俺は気持ち悪くて目も開けられなかった。
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