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第3話(6)

「うまいなぁ」  へにゃりと笑うと、創介はちらっとこっちを見てテーブルの上の料理に手を伸ばす。 「俺も!あーんして!生ハム食いたい」  何か創介にくっついているのが安心してスリスリと腕にすり寄って口を開けると、創介はため息を吐きながら俺の口に生ハムを入れてくれた。 「ふふ……うっまっ!もっと飲もうぜぇ」 「やめとけ」 「はーぁ?独り占めとかズリぃぞ!ふふっ!でも、気分いいから創介が飲みたいならやるよ?お前今日誕生日だもんなぁ!兄ちゃんが飲ませてやろっか?」 「誰が兄ちゃんだよ」  ボトルを持つと、創介が慌てて手を添えてくれて何とか零さないでグラスへ注ぐことに成功する。 「あはは!さすが父さん、酒屋だよなぁ……めっちゃうまい!」  笑いながらそのグラスの中身を飲み干すと、創介に慌ててグラスを取り上げられた。 「ちょっ!お前、もうやめとけ!」 「えー?俺、酒屋の息子だしーぃ!酒好きだぞ?」 「くっそ弱ぇんだよ!」  創介が何か叫んでいるけど、それさえも心地よく感じる。 「お前……いい匂いすんなぁ」  その背中にくっついてスンスンと匂いを嗅ぐと、創介は俺の頭を掴んで離してきた。それでもそのまま創介の腰に手を回してぎゅっとくっつく。  あー、何かめっちゃいい。安心するな。これ。

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