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第6話(2)
「そんな簡単に壊れたり……」
「告ったんだ。俺」
こっちを見て先輩は少しだけ笑った。
「え……」
「引くだろ?」
「いやっ!そんな……」
「いいよ」
「……すいません。正直わかんなくて……」
俺はハンカチを握り締めてまた俯いた。
「どうしたんだよ。お前」
ポンッと肩に手を付かれて俺は大きく跳び上ががる。
「あ、悪い。気持ち悪いか」
慌てて手を離しながら謝られて、俺はパッと顔を上げた。
「違うんです!俺、本当にわかんなくて……」
言いながらグッと唇を噛み締める。
「切れるからやめとけ……な?」
先輩に笑いかけられて、俺は眉を寄せてまた泣きそうになった。
「で?お前は?どうかしたか?」
クルッとイスを戻して先輩がパソコンを閉じる準備を始める。
俺は動くことも話し出すこともできなかった。ただ、両手を膝の上で握って先輩を見る。
「……創介にキスされて」
先輩は驚きの顔のまま口に手を当てて黙り込んだ。
「一緒に風呂入ったり、口で……その……」
ゴニョゴニョと言いながら顔が熱くなるのを感じる。
ちらっと先輩を見ると、先輩の顔も真っ赤だった。
「もうそれって親友とかの域超えてるじゃないですか!?キスします!?めっちゃ舌入れたあんなの!!」
俺は必死に莉音先輩の両腕を掴む。先輩が明らかに困った顔をしているのはわかってるけど。
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