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第6話(3)
「莉音先輩たちだってしないですよね!?お互いの抜いたりとか!!」
「抜っ!?」
先輩は慌てて口を覆った。
「お前らいつから付き合って……」
「付き合ってるんですか?俺ら!!」
「はぁ!?」
食い気味でいくと、先輩の声がすっ飛ぶ。
「訳わかんないんですよ!しょっちゅうキスされるけど、あいつ余裕で笑ってるし。俺が童貞なのからかって手出してきたのかと思ってたけど、口でとか……ケツなんて……」
話していたら思い出してきて顔がかなり熱くなってきた。
先輩も顔が真っ赤でブンブンと頭を激しく横に振る。
「莉音先……輩?」
「意味わっかんねぇのは聞くしかねぇよ!」
言われて俺は項垂れた。
創介の顔を見るとあの色々なことを思い出してドキドキと心臓がうるさい。
正直、キッチンに置いてあるあいつのグラスを見るだけであのちょっと開いた唇を思い出してワーワー騒いだりするくらいだから。
「欲求不満なんですかねぇ」
「ごめん。俺はそういうのあんまわかんね」
先輩は素早くスマホを操作してからジーパンのポケットにそれをねじ込む。
「ただ……お前と創介には俺らみたいにギクシャクはして欲しくねぇな」
立ち上がった先輩に髪をぐしゃぐしゃに乱されて俺はとりあえず笑って返した。
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