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第7話(3)
食べながら……と言いつつ創介は何も話し始めないし、俺も何を言っていいかわからず無言になる。
その時、創介のスマホが音をたてて、画面を見た創介は皿を置いてフーっと息を吐いた。
「雄吾……」
声をかけられて箸を咥えた状態で固まった俺はゆっくり時間をかけて箸を抜く。
だが、真面目な顔をしてまた黙る創介を見て俺は居心地の悪さから何か話題を……と必死に探した。
「ははっ……てか、俺の好物作るならさ、オムライスじゃねぇの?」
「お前、昼に食べてたろ?」
笑ってスープを口にすると、創介はちょっとムッとして答える。
創介がそんなことを知ってたなんて……軽くむせてグラスに手を伸ばすと、創介もお茶に口をつけてから半分くらい飲んでコトッとグラスを置いた。
「いつも見てんだよ」
「は?」
「お前は俺のことただの幼なじみとしか思ってねぇだろうけどな。俺はずっと……」
言いながら口元を手の甲で覆った創介。
俯いて苦しそうに眉を寄せる姿を見て、俺は咄嗟に身を乗り出してその前髪を退ける。
「ただの幼なじみじゃねぇよ。お前は特別だもん」
すんなり出た言葉に自分が1番びっくりした。でも、何か全てのモヤモヤが晴れてスッキリした気がした。
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