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第7話(5)
「あー……」
何か歯切れ悪くあらぬ方を向く創介。
「何だよ」
ちょっとムッとすると、創介は俺の腰に絡めていた両腕に少し力を入れてサッとキスをしてきた。
「……誤魔化してんじゃねぇよ」
目を細めてその両頬を少し潰しながら睨んでやると、創介は目だけを泳がせてため息を吐く。
「怒んねぇ?」
「さぁ?返答次第」
笑うと、創介は俺と目を合わせて少し唸ってから覚悟したように息を吐き出した。
「今日連れてた女ってか……今までの女はみんなお前に気がある……もしくはちょっと興味あるかもって奴で」
「はぁ?」
「お前モテないんじゃねぇよ。モテて……ちょっかいを出されるのムカつくから……」
「待て」
創介の口元に手を当てて無理矢理止める。
意味がわからない。
「今までの女みんなって……」
頭の中にこれまで見た何人もの女の顔が浮かぶ。中にはちょっと好きだった女も居た。それが……全部……?
「最初は中学ん時、お前のことを知りたいって女が話しかけてきたからだった」
ちょっと目を伏せるように下を向いて話す創介。
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