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第9話(3)
風呂からあがると丁寧に体を拭かれて、慌ててすり抜けた俺は急いで服は自分で着たけどまた捕まって鼻歌混じりの創介に髪を乾かされた。
すっかり冷めた料理を温め直している間にサラダをつまんでいると、創介は横に来てにこにこ笑っているし。
「ん、雄吾」
アーンとか……そりゃ憧れてたけど、恥ずかし過ぎる。
顔を反対に向けて隠れるように食べていると、創介が横から腰を抱いてきた。
ビクッと背筋を伸ばしてチラッと見ると、創介はちょっとムッとしてこっちを見ている。
「俺たち両想いなんだよな?」
「ちょっ!零れるって!!」
持っている皿を落としそうになって慌てると、創介はさっさと俺の皿を取り上げてじっと見てきた。
「お前も俺のこと好きなんだよな?」
「……たぶん?」
目を逸らしたいのにそんなん許してくれなさそうで、消え入りそうな声で答えると創介は目を細める。
「だって!ずっと幼なじみだったじゃん!親友だったじゃん!そりゃ、好きか嫌いか……なら好きだもん!」
「特別だって言った。俺、好きだって言ったよな?来れるか?ってわざわざ確認したつもりなんだけど?」
ワタワタ慌てても創介は全然離してくれなかった。
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