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第10話(2)

 木曜日はバイトがないと言いつつ「やっぱり遠慮する」と、莉音先輩は首を縦には振ってくれなかった。  俺たちは授業を終えて何となくパソコン室に向かう。  もうすぐ学祭。  並んで編集の終わったそれを見ながらよくこの部屋で一緒に居た先輩たちを思った。 「ん?雄吾と創介じゃん。どうしたんだ?」  声がして顔を上げると、同じ映画サークルで俺たちと同じグループで映画を作った先輩で監督であった|竹林《たけばやし》|拓夢《ひろむ》先輩が居て俺たちは映像を止めてヘッドホンを外す。 「出来上がったんだなぁって浸ってただけですよ」 「あー、お前ら雄吾が酔っぱらい過ぎて帰ったからあの飲み会で完成したやつ見てねぇもんな」  笑う創介を見ながら竹先輩は机に手を付いて笑った。  うん、先輩。それは忘れて欲しいやつです。 「竹先輩はどうしたんですか?」  先輩を見上げた時の創介の首筋がやたら色っぽく感じたのは……何故かキスマを思い出してドキドキしたからか。  大丈夫。朝、何度もキスマが見えねぇか確認したし。 「んー?せっかくだから、DVD作ろうと思ってな。デザインしてきたから1枚試しに印刷しようと思って」 「え!?どんなんですか!?めっちゃ気になる!」  余計な思考を吹き飛ばして食いつくと、竹先輩はにししっと笑った。

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