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第10話(6)
レジの側の席に居たから当然なんだが、会計に来た大和先輩は俺たちに気づいて面倒臭そうな顔をする。
「おう!幸せ野郎!」
竹先輩が片手を上げると、大和先輩は支払いをしながら目には入れないように顔を反対に向けた。
隣に居る彼女は大和先輩に腕を絡ませていて、俺らに気づいて更にしっかりと絡ませながらこっちに向かってにっこりと笑う。
うーん……美人だけど何となく苦手だ。
不思議だよなぁ。いい感じに胸のある美人なんて、今まで側で見れたらラッキー!だったのに。
こっち向いて笑ってくれたらそれだけで何かテンションめっちゃ上がったのに。
迷惑そうな大和先輩でも気にしないで話す竹先輩。
ちらっと創介を見ると、創介は興味なさそうに串を口に運んでいた。
「2人とも結構なイケメンよね。こんなイケメンが男だけでだなんてもったいなくない?」
大和先輩が竹先輩に絡まれていて暇になったのか、彼女がテーブルに手を付いて微笑む。
「別に。この方が気楽ですし」
串だけになったそれを置いて創介は彼女に笑顔を見せた。女用のよそ行きの笑顔。
「きみ、色んな女の子と歩いてるのよく見るけど……本命しっかり作った方がいいわよ?」
「大丈夫ですよ。ちゃんと居るんで」
……俺を間に挟んでやるのやめてくれ。
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