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第11話(4)
中途半端にスイッチを入れられたのにまた何事もなく……
「早く行くぞ」
と普通に学校へ出発。
自転車を漕ぐ創介の後ろ姿を見ながらイライラし始めた。
しかし、門のところで竹先輩と一緒になって俺も下手に口を開くことはできなくなる。
文化祭1日目。この日のために今まで先輩たちが頭を悩ませて準備してきたのは見ていたから。
「今日、志村と須藤は居ねぇから、何かトラブルあったらお前らにも頼るかも!よろしくな!」
エスカレーターに乗って振り返りながら笑う竹先輩を見て俺はモヤモヤを振り切るように明るく返事を返した。
そうだ。今日は莉音先輩のお姉さんの結婚式って言ってたもんなぁ。大和先輩は……またあの彼女とデートなのかなぁ。
考えつつちょっと寂しくなる。
莉音先輩は俺と創介の仲を取り持ってくれたようなもんなのに……先輩には何もしてあげられないのが辛かった。
むしろ、大和先輩と彼女の焼き鳥屋デートに遭遇したっていうマイナス情報しかないし。
「雄吾?」
創介に呼ばれてハッとすると同時にエスカレーターは終わりでつまずきかける。
「っぶね……大丈夫かよ。お前」
呆れた顔の創介を見て明るく笑っておきながらちょっと腕を掴んで支えられたことにドキドキした。
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