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第11話(6)

「お前が我慢できなくなるの待ってたけど……。雄吾……帰ったら覚悟しとけよ」  鼻が触れるくらいの距離にいた創介は俺の顔の横で握った拳に力を入れるとサッと離れて教室から出て行った。  何が起きたのかよくわからない俺はまだドキドキうるさい心臓を押さえて壁にもたれたままズルズルとしゃがみ込む。  え?どういうこと?  しばらくすると『早く来い』ってメッセージが届いたけど俺はなかなか動き出せなかった。  受付で隣に居る創介を見てはドキドキする。  俺たちの当番じゃない時なんて一緒に歩いていると人が多いから自然と肩が当たったりするし。  真剣に仕事して気を逸らそうと思うのに創介が机の下で手を繋いできたりしてガタンッと勢いよくイスを跳ね上げるくらい反応してしまった。 「前も隠れてるし後ろは壁。見えねぇよ。今は人も居ないし」  そういうことじゃねぇだろ!何、急に手とか繋いできてんだよっ!!  言ってやりたいのに口はパクパクと動くだけで声にはならない。 「お前さ。そんな真っ赤だとバレるぞ?」  ニヤッと笑われて勢いよく手を振り払うと、創介に内腿を撫でられて今度は思いっきり背後の壁に頭を打ち付ける。 「〜っ……!!」 「敏感」  フッと耳に息をかけられて俺はもう涙目で創介を睨んだ。

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