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第13話「早くっ!!」

 いつも歩いて大学に行く時の倍以上の時間がかかった。  11月で外は肌寒いのに汗だくの俺は絶対におかしいだろう。 「はよ!って……雄吾?お前、顔真っ赤だけど調子悪いのか?」  エスカレーターに乗って汗を拭っていた俺は聞き慣れた声にビクッとする。そして、その瞬間キュウッと中が締まって小さく呻いた。 「……え?」 「あ、莉音先輩、おはようございます」 「ちょ、雄吾……」 「大丈夫ですよ。朝、寝坊したのに自転車パンクして焦りまくったってだけですから」  爽やかに笑って嘘を吐く創介を蹴り飛ばしたい。 「え!?大丈夫か!?それ!別に遅刻していいのに……昨日も頑張ったんだろ?」  優しすぎる莉音先輩に創介の野郎……マジで謝れ。 「でも、マジで雄吾の顔真っ赤だぞ?創介、自転車一緒に乗せてやればいいのに」  エスカレーターから降りたところで腰に手を付かれて跳ね上がる。  声は抑えたもののこんなん絶対にマズい。 「……大丈夫ですよ。ちょっと……顔でも洗ってきます。創介、荷物持て」  創介にトートバッグを突き出すと、創介は素直にそれを持ってついて来た。 「も……無理……抜け……」  2人だけになって小声で言うと創介はニヤリと笑う。

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