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第16話(2)
「大和先輩、あぁいうタイプは怒らせない方がいいですよ?」
「気づいたらもう怒ってるのはどうしようもない」
創介の助言も大和先輩は面倒くさそうにしている。
「えー?でも、好きなんですよね?」
俺が創介の皿からポテトを取って口に咥えると、大和先輩はスプーンを皿に置いてちょっと視線を外した。
「……どうだろうな」
「はぁーーーつ!?おまっ、フザけんなよっ!!」
大和先輩の呟きに反応して立ち上がった竹先輩の口を塞いで莉音先輩はグッとそのまま背中に乗る。無理矢理座らされて押さえつけられると、竹先輩はむぐむぐと首を振った。
「志村っ!」
「うるせぇんだよ!お前はっ!」
莉音先輩が顔を近づけて睨むと、竹先輩はちょっとムッとしながら起き上がる。
「全体重かけやがって」
肩に手を付いて首を回す竹先輩を見ながら莉音先輩はイスに座って空になったラーメンの丼を退けてから箸を持ってハンバーグを口に入れた。
「莉音、食い過ぎ」
食べ終わった大和先輩がグラスを持って莉音先輩を見ると、莉音先輩はべぇっと舌を出してからご飯も口にする。
「この方が莉音先輩って感じで安心しますけどねぇ」
笑うと莉音先輩もへへっと笑って口いっぱいにまたハンバーグを詰め込んだ。
ラーメンにハンバーグ定食にカツ丼。
まだ問題は万事解決とはいかないみたいだけど、やっと食欲も戻ってちゃんと笑う莉音先輩を見て、俺もとりあえずホッとした。
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