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第16話(3)

 食べ終わった俺たちは3限に向かうために先輩たちと分かれる。  一度だけ振り返ると、しゃべる竹先輩に対抗していた莉音先輩の肩に手を付いて大和先輩が何かを言って2人は笑っていた。 「うまくいかんかなぁ……」 「お前はそればっかだな」 「だって、大和先輩、あの彼女のこと好きじゃねぇじゃん!」  むんっ!とかばんを握って前を向くと、創介はポケットに手を突っ込んでダルそうにする。 「先輩はそうでもあの女だぞ?これから12月で、クリスマスに、年越しして正月、バレンタイン……行事目白押しの時に逃すとは思えねぇけどな」  言ってあくびをした創介を睨むと、創介は知らん顔をした。 「そんじゃあ、いつまで経っても莉音先輩はかわいそうじゃねぇか!」  ボスッと腰の辺りにパンチを入れると、創介はため息を吐く。 「しゃあねぇだろ?大和先輩は彼女持ち。更に、莉音先輩は今、そこまで望んでねぇんだよ」  顔を近づけられてちょっとドキッとしたのに目の前で創介はべぇっと舌を出した。  ギリギリと歯を鳴らすと、創介は笑ってさっさとエスカレーターに乗る。  俺も後を追うが何かモヤモヤしてスッキリしない。 「何とかくっつけられねぇのかなぁ……」 「まだ言ってんのかよ」  創介のため息も無視をして俺はしばらく頭を悩ませた。

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