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第16話(6)

 一緒に飯を食って、創介が片付けてくれている間に俺は風呂に入る。  湯船に浸かって天井を眺めていると、またちょっと前の辛そうな莉音先輩の顔を思い出した。 「俺にできることって……何だ?」  呟くとガチャンと浴室のドアが開いて跳ね上がる。 「まだ悩んでんのか?」  創介は呆れたように笑いながら俺のバスタオルを広げた。 「だって……」 「お前にできることは思いっきり俺に愛されてにこにこ笑ってることだよ」 「っ!?は、はぁっ!?」  上がろうと立ち上がって湯船から片足を出した俺はかなりキョドる。  それを見てまた笑う創介は腕を伸ばしてきて俺の腕を引いた。  恥ずかしいセリフを吐いたのは創介なのに一切気にすることなく俺の体を抱き留めて軽く拭いていく。 「なっ!!何、言って……」 「こっちも準備したんだろ?ここでヤりたいのか?」  拭きながら後ろを触られて跳ねると、創介の鎖骨辺りに顎をつけてフルフルと首を横に振った。 「俺の部屋、温めてあるから……行くぞ」  バスタオルを巻いたまま手を引かれて創介の部屋に入る。 「俺らの幸せ願ってるって先輩言ってただろ?お前が思い悩むより、喘ぐ方が望まれてんだよ」 「応援してるって言っただけでそんなこと言っ……」  まだ途中なのにキスで口が塞がれた。  こうやっていつも創介のペースになるんだ。  それが嫌じゃないから……困ったもんだよなぁ。

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