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第17話「飲み会」

 12月も明日で終わり。  世間は年末で忙しいのかもしれないけど俺らはそうでもない。  映画サークルの飲み会が開催される居酒屋に到着すると、莉音先輩と大和先輩ももう来ていて隣同士で居るのを見てホッと息を吐く。 「あっち行くか?」  先輩たちが町田組の奴らと話しているのを見て創介は別のテーブルを指さした。  同じ竹林組だがあまり話したことはない撮影班の奴らが座っていて、俺らが歩いて行くと手招きをして席を空けてくれる。  創介と並んで座ると創介の前に居た女がにこにこと笑った。正直、その嬉しそうな顔はムカつく。  しかも、創介は俺に喋らせることもなくコーラを注文するし。  乾杯をしてちょっとスネながらサラダをつついていた俺は話が弾んでいるそっちを横目で見て黙り込んでいた。 「戸川くんと佐伯くんって一緒に住んでるんでしょう?」  ちょっと猫撫で声で女が身を乗り出すのを見て、思わず間に割り込みたくなる。  真冬にしては薄手で胸元の開いた服。谷間がくっきり見えて黒いブラ紐も何ならちょっとレース部分だって見えている。  昔の俺だったらかなりのドキドキ案件で落ち着かなかったかもしれないけど、今は創介が連れて行かれるんじゃないかってドキドキ……いや、イライラもんだ。 うん。マジで今、女の子に興味ねぇんだな。俺……。

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