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第17話(2)

「戸川くんの手って大きいねぇ!」  創介の隣に居た女までそんなことを言って創介と手を合わせている。  ブチッとキレそうになるその甘々なアピール。  だが、キレたのは意外な人物だった。 「ナナ!フザけんな」  創介と女の間に割り込んだ金髪の男。  創介の隣に無理矢理体をねじ込んで女の後頭部を掴むとそのまま勢いよくキスをした。  すぐに盛り上がって囃し立てる声。 「もう酔ってんのかよ!ここではヤんなよ!」  言いながらもピューと口笛を吹くのを見て俺は訳がわからず瞬きをするくらいしかできない。  女も男に腕を絡めて濃厚なキスを交わしている。そして、しばらくすると、顎にその跡を残しながら2人は手を繋いでどこかへ消えていった。 「……何あれ?」  呆然としたまま呟くと、創介は特に顔色を変えることもなくコーラを口にする。 「ん?先月の学祭きっかけで付き合い出したバカップル」 「は?」 「こっちも」  顎で示された目の前、あのブラ丸見え女は俺の前に座っていた男の肩に凭れかかってかなりのイチャイチャモード。 「え……?」  さっきまでもムカムカはスッと消える。でも、堂々と手を繋いでくっつき合う2人を見て何かモヤモヤした。  チラッと創介を見ると、隣の女が居なくなったことで空いた場所に来た男と笑って話している。  畳に置かれたその左手を握りたい。  でも、それは絶対に無理なことだ。

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