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第17話(4)
「お前ら……そういう関係だったのか?」
大和先輩の声がして創介は勢いよく離れて、支えを失くし崩れる俺を抱き留める。
「あ……えっと……」
珍しく焦ったような創介が俺を抱えたまま膝を付いてそのまま床に座り込んだ。
何か創介が慌てているのはわかるけど、俺は抱えられているのが嬉しくて創介に絡みついて笑みが止まらない。
「創介、大丈夫だって。見ちゃったの俺たちだけだから」
莉音先輩がしゃがみながら創介の肩に手を付くと、創介はチラッと大和先輩の様子を窺う。
舌打ちをした大和先輩の方に莉音先輩が向き直ると、大和先輩はプイッとそっぽを向いた。
「恋愛はそれぞれの自由だろ?」
「男同士だぞ!!」
「……なぁ、大和。そんな悪いことなのか?」
言い合う2人の言葉で創介が微かに震えている。
「そーすけ?」
そんな会話もよく聞こえない俺はとろんと視界も潤んだまま腕に捕まると、創介はギュッと俺を抱き締めてくれた。
「せめて俺は応援してやりたいからさ!内緒にしてやって!な?」
んー?莉音先輩?応援?
先輩の声がする気がするのによくわからない。
「創介!とにかく雄吾の酔い覚ますなり先に帰るなり……お前も落ち着けよ!」
やっぱり莉音先輩の声だと思って顔を上げると、大和先輩の背中を押して去って行く背中が見えただけだった。
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