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第17話(5)

「……帰ろう」  震える創介の声が心配になってそっとその頬に手を伸ばすと、創介はぎこちなく笑う。  それがかなり苦しそうで膝立ちしてギュッとその頭を抱き締めると、創介も俺の腰に腕を回してしっかり抱き締め返してくれた。 「……荷物持ってくるから待ってろ」  ゆっくり離れて頭を撫でられて、俺は腰を降ろして壁に凭れ掛かる。  創介が羽織っていたシャツを掛けてくれて、俺はそれに顔を埋めて嬉しくなった。  創介が不安と恐怖と後悔……色んな思いでグチャグチャになっているとも知らずに。  俺は創介の匂いがするそのシャツを握り締めて1人にこにこと笑っていた。  店を出ても、電車に乗っても創介は口数が少ない。  ソフトドリンクの大きなグラスといってもだいぶ零したし、酒はその1杯だけだった俺は酔いが覚めてきて改札を出て歩きながら隣を歩く創介の横顔を見る。  12月の寒い風に当たって少しずつ頭がクリアになってきていたが、創介の顔はどんどん険しくなっていった。 「……創介?」  そろりと声を出すと、創介はコートのポケットに手を突っ込んだままこっちを向く。 「俺……かなりやらかした?」  曖昧な記憶しかなくて尋ねると、創介はフッと表情を緩めて俺の尻を蹴った。

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