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第17話(7)
どのくらい時間が経ったのか。
泣きすぎて重いだけじゃない、酒の影響もあってグラグラする頭を起こしてベッドの縁に腰掛けた。
部屋の向こうから創介の声が聞こえてとりあえずホッとする。
もし、何かをやらかしていたならそれだけで大変だっただろうに帰ってくるなり怒鳴られたんだ。俺を捨てて出て行くことも想像していたから。
じっと座ったまま耳を傾けても会話の内容まではわからない。
でも、しばらくするとその声も聞こえなくなって俺は立ち上がってそろりとドアを開けた。
真っ暗なリビングで座り込む創介を見つけて電気を点けると創介はゆっくり顔を上げる。
俺も部屋を真っ暗なままにしていたから急な眩しさで目を閉じると、創介はくすくすと笑い出した。
「……笑うな」
何か恥ずかしくてそっぽを向くと俺の右手が引かれる。その力が強くてバランスを崩すと、俺は創介に抱き留められていた。
ギュッと力いっぱい抱き締められて戸惑う。
「……創介?」
顔を上げようとしてもグッと後頭部を押さえられて動けない。
「明日から実家帰るじゃん?その間は2人きりにならずに友達に戻らね?」
「はぁ!?」
押さえられているのも無理矢理力で押して創介を見ると、創介はグッと何かに耐えているようだった。
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