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第17話(9)

「さっき大和先輩から電話あって話した」  ドクンと心臓が大きな音を立てる。  不安なまま創介を見ると、創介はポンと俺の頭に手をついて表情を緩めた。 「大丈夫だよ。大和先輩は俺らのお陰で自分の気持ちに気付いたって言ってたから」 「……は?」 「明日、彼女と別れて莉音先輩に告るって」 「ん?……はぁ!?」  声が裏返ってガタンと膝を立てると、まだグラスに残っていた水が少しテーブルに零れる。 「お前の望んでた通り、明日には2人もくっつくってこと」 「じゃあ、何で友達にって……」  先輩のことは嬉しいのに創介の言葉が悲しくて涙を堪えた。  創介はテーブルに置いたグラスを両手で持ったままじっとその中身を見つめる。 「見られたのが先輩たちで……しかも、今回はそれがいい方向に進んだからよかった。でも、もし違ったら?」  顔を上げた創介の顔を見て俺もまたペタリと床に座った。 「お前、ずっとライン引こうって言ってたじゃん?やっぱり必要だったのかもしれない」  ちょっと笑う創介を見て俺は項垂れる。 「……うん。……わかった」  何とか言葉を押し出すのがやっとだった。

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