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第18話「距離」
実家に帰る電車の中も俺と創介の間には距離がある。
そもそもアパートを出る前だって「おはよう」と「明けましておめでとう」を言い合って淡々と飯を食って出てきただけで……キスどころか手が触れることもなかった。
チラッと創介を見ても、創介は窓の外を見つめていてこっちを向かない。
何か付き合う前より距離がある気がして辛い。
そもそも付き合う前ってどうだったか思い出せない。
乗り換えもいつもみたいに振り返って気にしてくれることもなくて足を止めたくなる。
どうせなら別々に……創介が見えない方が楽な気もするが向かう駅も一緒だし、実家だって隣同士だ。どうしたって目に入る。
「創介!雄吾!」
地元の駅に着くと創介の兄、|政行《まさゆき》くんが運転席から顔を出して手を振っていて俺たちは荷物を抱えたまま後部座席に並んで座った。
助手席には政行くんのかばんがあるし、これが自然だよな!?って1人で何度も確認をしながら窓の外を見つめる。
どこまでも続く田んぼと畑もほとんどバスなんて来ない古びたバス停も特に変わった所なんて見当たらないのに、じっと景色を見ていると涙が出そうになった。
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