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第18話(2)
「意外と田舎も落ち着くか?」
政行くんがミラー越しにこっちを見ていて俺ははにかむように笑うのが精一杯だった。
もう少し首を動かして創介を目に入れたら泣く気がする。
小学校も中学校も……毎日創介と歩いた道。高校はもっと先だったけど一緒に自転車で走った道だ。
まぁ、まだただの幼なじみってか親友(あ、でも、創介は違うのか?)だったし、バカなことばかり言って笑い合って、本気でケンカもした思い出ばかりの道。
恋人同士になって初めての帰省でどんな感じかなぁ、なんて思っていたのに……親友どころか創介が遠い。
「お前らさぁ……ケンカしたのか?」
信号で停まった時に政行くんが振り返ってドキッとする。
「は?」
不機嫌そうな創介の声は聞くだけで何か辛い。
「いっつもうるせぇくらい騒いでたのにずーっと静かじゃん」
「疲れてるだけだし」
さっさと会話を終えようとする創介をやはり見れなくて、俺はもう窓の外を見ることもできずに俯いた。
代わりにしゃべり出してくれた政行くんの話を聞きながら、とりあえず笑ってみる。
ダメだ。政行くんに言われた通りこれはたぶんおかしい。
俺らはいっつも肩組んだり、体ごとぶつかって「邪魔だしぃ」って笑ってただろ?
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