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第18話(3)

 でも、近づいたら手を握りたくなる。キスをしたくなる。創介の目を見つめたら……とろんって溶けて甘い息を吐きたくなる。  ……どうしよう。  冬休みの間、くっつき過ぎて……それまでの普通の友達もできる気がしない。  キスもできないって思うと、隣に居るのもかなり気を遣う。  もう隣に創介が来たら肩に凭れかかるのが当たり前になり過ぎているから。  この車の中で指なんか絡めちゃったらマズい。  親たちの前でチューなんて強請ったら……この先どうなるんだろう? 「着いたぞー!ほら、さっさと降りろ!」  政行くんが創介の家の前に停めて振り返る。  降りる気配も駐車場に停める気配もなくて不思議に思っていると 「じゃっ!俺は今日から彼女と旅行だから!次、会うのは……夏?お盆?まぁ、お前らは普段一緒に暮らしてるんだからさ!早く仲直りしろよ!」  政行くんは俺らが荷物を持って降りたのを確認すると、にこにこ笑って手を降りつつ車を発進させた。 「「は?」」  思わず2人でハモってしまってぎこちなく顔を背ける。 「あー!政行、もしかして、行っちゃった?」 「あぁ、今」  創介の母、|実希《みき》さんが慌てて玄関から出てきてちょっとムッとしたのを見て、創介が頷いた。

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