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第18話(6)
「|勝《まさる》は?」
「ん?捕まる前に彼女と初詣行った」
沙南の言葉でピタリと箸を止めると、沙南はケタケタと笑い出す。
高2で彼女とは……沙南も昔から彼氏が居るし俺は敗北感でいっぱいになった。
「ゆうにぃ、まだ彼女居ないんだ」
「うるさい」
ニヤニヤされてムッとする。
「そうちゃんに紹介してもらえばいいじゃん」
笑う沙南を見ながらチラッと創介を見ると、あいつは遠いところでおじさんたちとお酒を飲んでいた。
創介と付き合ってるなんて言えないし、ましてや今は距離を取ることになっていて現実としてもかなり距離を感じる。
酒なんて飲んだら我慢も限界になって泣いて創介にすがり付く気がして、俺はグラスを持ってオレンジジュースを流し込んだ。
「でも、何かゆうくん色っぽくなった気がするけど?」
「は?」
「本当はお付き合いしてる子居るんじゃないのー?」
隣に居たおばちゃんに声をかけられてギクっとする。
「大人の階段上った?」
「20歳になっただけだよ」
創介に抱かれているなんて口が裂けても言えなくて視線を彷徨わせると、創介と目が合って俺は何か恥ずかしくなって俯いた。
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