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第19話「好きなんだよ!」

「バカ!アホ!マヌケー!」  俺のボキャブラリーなんてたかが知れていてすぐに悪口なんて思いつかなくなる。  ボカボカ殴る俺の両手を掴んだ創介は何度も謝りながらキツく俺を抱き締めてくれた。 「ごめんって……マジで」 「許すか。……バカ」  涙がどんどん溢れてきて全然決まらない。 「何で別れてとか言うんだよ!俺に突っ込んだのお前だろ!お前じゃないとダメにしたクセに離れようとすんな!」  泣きながらまだ背中を叩いている俺におでこをくっつけてきて創介がまた謝ってくる。 「俺と居たら……結婚できないぞ?」 「知ってる」 「子供だってできない」 「欲しいのかよ」 「|酒屋《おまえんち》どうすんの?」 「勝でも沙南でも居るし」 「……いいのか?」  ガブっと創介の口に噛み付いてやった。  無理矢理キスをしてもううるさい創介の口を塞いでやる。 「うるせぇよ!もう……何だよ。お前。嫌なのか?俺と居るの」  涙を堪えるような創介がフルフルと首を振った。  ビシっとチョップを食らわせてそのまま俺のベッドに押し倒す。 「逃がすかよ」  ニッと笑うと、創介は泣きそうなまま俺の腰を掴んで穏やかに笑った。

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