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第19話(6)

 とりあえず目の前の料理に手を伸ばすと、じーっとこっちを見ている人物。弟の勝だった。 「……何だよ」  あまりにも見られていて居心地が悪い。 「いや……兄貴、彼女でもできた?」 「は!?」 「何て言うか……今、付き合ってる人居るだろ?」  ……これは「居る」と言っていいのだろうか。創介の方を見かけて下を向く。すると、 「勝は彼女できたって?めっちゃ美人らしいじゃん!」 「なっ!誰だよ!言ったの!」  隣から創介に肩を組まれてギョッとするが、目の前の勝が真っ赤になって既に話が変わっていることにホッとした。 「えー?誰かしらねぇ?」 「おばちゃんかよ!」 「勝、どんな子?」  にぃっと創介が笑うと、勝はプイッとそっぽを向く。 「黒髪ロングの清楚系美人よ」 「おばちゃんは黙ってろよ!」  肩を組まれてドキドキするけど、ピシッと手を払って無視をしつつ料理に箸を伸ばした。  その手ごと掴まれて肉を食われる。 「そう!てっめぇ」 「あ!これ、おばちゃん作っただろ!めっちゃうまい!」 「本当?ありがとう!はい、ゆうくんもね」  皿に取ってもらって口に入れた。 「うっま!」 「だろ?おばちゃん、これの作り方教えて!」  帰ってきてやっと楽しく騒いだ夜だった。

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