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第20話「企み」
帰ってきたらすぐにお互いバイトで、バタバタと俺たちはほぼ元通りの日常に戻った。
「くっそ疲れた……」
自転車を停めて玄関を開ける。その瞬間甘ったるい匂いがして首を傾げながら階段を上った。
「ただいま、何してんの?」
かばんを置いてカウンターから中を覗くと、創介は皿に盛ったデザートをこっちに置く。
「お帰り。店で出すバレンタインデザート俺も考えてみないかって言われてな」
「バレンタイン?まだ1月じゃん」
「2月になってから考えてたら遅いだろうが」
キュッと鼻をつままれてプルプルと首を振った。
「手洗って来いよ。準備するから。で、食後これ試食しねぇか?」
「今、食いたい!俺、もう疲れ過ぎて糖分欲してるんだよ」
ダランとカウンターに凭れると、ちょっと顎を持ち上げられてチュッとキスをされる。
「腹減ってんの。俺は」
「俺を食う気か?」
「食わせてくれんの?」
にぃっと笑われてガゥっと噛みつこうとすると、ひょいっと避けられて笑われた。
「煮込みハンバーグ食ったら一緒に風呂入るぞ」
「あ!食う食う!」
パタパタと洗面所に向かって走り出すと、肩をすくめて創介はご飯をつけ始める。
飯食ったら、デザート!で、一緒に風呂だ!!
幸せすぎて顔がニヤけるのを止められなかった。
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