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第21話(10)
朝食が喉を通らない。
ちらっと隣に居る莉音先輩を見ると、莉音先輩も俯いたままあまり食が進んでいないようだ。
「雄吾、お前が煽ったくせに……何、照れてんだよ」
グッと口にクロワッサンにハムとレタスとオムレツを挟んだのを押し付けられて、じと目を返してやる。
「この部屋ではエロオープンにしていこう!つったのお前だぞ?」
「酔っ払いの戯れ言だろうがっ!!」
噛みつくように怒鳴ると、創介はニヤリと笑った。
「お前は先輩たちの目の前で始めようとしたんだからな?感謝しろよ?」
信じられない言葉を聞いてそろりと先輩たちの方を見ると、莉音先輩は目も合わせてくれなくて、大和先輩は表情が読めない。
「……まぁ、莉音に手を出すきっかけにはなったけどな」
「なっ!!大和っ!!」
莉音先輩がワタワタと大和先輩の口を塞ごうとして真っ赤な顔で慌てている。
「ははっ……莉音先輩、初心過ぎ」
莉音先輩の反応を見ていたら笑えてきた。
「なっ!!雄吾っ!お前、ちょっとは恥ずかしがれ!」
「恥ずかしいですよ。創介、容赦ないから」
「あ……うん。……だろうな」
ちらっと創介を見て恥ずかしそうに声をひそめるとか……何だそのかわいいの。
「先輩!たまには受けトークしましょうね!」
「は?」
絶対楽しいと思う。
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