166 / 203

第23話(3)

「あー、やっぱり大和先輩は童貞じゃないですよねぇ」  トレーを端に寄せて机に肘を付くと、莉音先輩はいちいちワタワタと大きく反応する。  普段と違ってゼミとかサークルとか用のある学生だけだし、人はそんなに居ないから気にしなくていいのに。 「大丈夫ですって!俺も童貞ですし」  ニコッと笑うと莉音先輩は机に突っ伏した。 「ダメだ……もうめちゃくちゃ恥ずかしい」 「えー?でも、この前ヌき合いはしたんですよね?」  聞くと、莉音先輩は顔を上げないままビクッと肩を揺らす。 「気持ちいいことは素直に感じていいんですって」  もう1つチョコを手に取ると、莉音先輩は少しだけ顔を上げてためらいがちにこっちを見た。 「……お前、気持ちいいの?」 「ん?エッチのことですか?」 「だからっ!声っ!!」  慌てた莉音先輩が立ち上がって俺の口を塞ぐ。  笑って手を退けて座り直すと、莉音先輩も小さくなって腰を降ろした。 「そりゃ、最初は指1本だけでも気持ち悪いってか違和感ってか……マジでここに挿れるのか?って思ったけど」  素直に答えると、莉音先輩の顔が引きつる。 「あいつの指はやっぱりドキドキするし、奥まで挿るとまぁ苦しいけど……安心する感じです」  ポンッとチョコを投げて口に入れると、莉音先輩はかなり不安そうな顔をした。

ともだちにシェアしよう!