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第25話(7)

「お前って本当凄いよなぁ」  呟くと、創介は俺を抱き締めようとして首を傾げる。 「いつも俺の一歩も二歩も……いや、もっとずっと先に居……うぃっ!!」  途中で両頬をつままれて変な声が出た。 「一緒に居るんだよ。俺は情けないくらいお前しか見てないんだから」  じっと見てくるその顔が少し不安げで思わず笑ってしまう。 「笑ってんなよ」 「そういう意味じゃねぇだろ?」 「わかってるけど離れてるような言い方すんな」  ムッとして少し照れている創介が何か新鮮で笑いが止められない。 「……こっちは真剣に話してんのに」  いつまでも笑い続けていると、創介は目を細めて急に俺を横抱きにした。  そのまま立ち上がってズンズン創介の部屋へと連れて行かれる。 「え!?何で!?」  ベッドになんて降ろされたら嫌な予感しかない。 「俺がいつもお前と居るって刻み付けてやる」 「ちょっ!待っ!!」 「待たない」  俺の上に跨がってきた創介の目が完全に獲物を捕らえた雄の目だ。  この目だけで俺は簡単に縫い留められる。 「んっ……」  いつもより性急に……でも、その荒々しさとは逆に熱く深く創介に抱かれた。

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