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第25話(8)

「何か……年末年始の二の舞じゃね?」  湯船の縁に顎を乗せて呟くと、創介は「ん?」と首を傾げてシャワーを浴びる。そして、迷うことなく湯船に足を入れて俺の後ろに回り込んだ。  ギュッと抱き締められてダルい身体をそのまま創介に預けて凭れ掛かる。 「今日は狭いって文句言わないな」 「言う気力もねぇんだよ」  呟くように言って目を閉じると、チュッと音を立ててキスをされた。 「まだ2回だろ?」 「ヤダ。もう寝る」  ムッとすると創介はなぜか余裕の笑みを見せる。 「あぁ、寝ような。《《今夜は》》」  優しく髪を撫でられながら抱き締められているだけでちょっと眠くなってきた。 「眠いならあがるか?ちゃんと布団で寝ないと風邪ひくぞ」 「うー」  一度眠くなってくるとなかなか頭はちゃんと働かなくて創介に支えられるまま風呂からあがってノロノロとタオルで拭く。  激しく抱かれた後はめちゃくちゃダルい。そんな時に風呂でまったりされたら……そりゃ眠くもなるだろう? 「ほら、足上げろって」  創介に言われるまま服を着せられて腕を引かれた。 「おやすみ」  布団に入ると軽くキスをされて目を閉じる。 「あ、創介は?」  布団には入らない創介の手を慌てて掴むと、 「片付け終わったらすぐ来るから……先に休め」  微笑んで創介はベッド脇に座って俺の頭をまたゆっくり撫でた。

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