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War22:Show Must Go On
『そういえば1 ON 1って最近よく聞く名前ですね』
「一昨年デビューしたグループですけどもうすでに3万人規模の会場でライブしてますし、自分達で曲を作ったりダンスの振り付けしたり」
『すごい』
「とくに今センターにいるあの子、中崎朔 はダントツ人気で一人でドラマやCMに引っ張りだこなんですよ」
彼らにはステージを自分達の世界に変える力強いパフォーマンスとオーラがあった。DeeperZの6人も完全に面食らった様子でただ見ているだけで誰も声を発しない。
次が自分達の番というのも忘れたかのようにイチ観客となってステージに引き込まれた。
〈1 ON 1さんのリハーサルは以上になりまーす!〉
スタッフの声で終わった事に気付く。
リハーサルを終えた1 ON 1の7人がステージから降りてくる。装置していたマイクやイヤモニを外しながらこちらをチラッと見た。
「あっ!もしかしてDeeperZさんですか?」
話しかけてきたのはさっき話題に出た中崎朔。
「……あ、はい。」
「やっぱり!知ってますよ!クリスマスにデビューしたばかりですよね。ライブの様子テレビで流れてるの見ました!」
さっきのステージの顔とは別人のように優しい笑顔で気さくに話しかけてきた事に驚くメンバー。一番近くにいた光が口吃りながら返事をする。
「あっ、あ、ありがとうございます!俺たちも今のリハーサル見てとても勉強になりました」
「いえ全然、勉強になるほどのものじゃないですよ。俺たちも全然まだまだなので」
〈おいっ、朔!行くぞ!〉
「あっ、はい!じゃ行きます。お互い本番頑張りましょうね!」
マネージャーに呼ばれ小さくお辞儀して走って行く朔。嵐の後の静けさのような空気にのれたまま、DeeperZのリハーサルの順番が回ってきた。
「頑張ってね!」
『リラックスしていつも通りで大丈夫。』
《いってきます!》
緊張感は拭 えないものの、元気に挨拶をしてステージに上がっていった。
そしてリハーサルは特に大きな間違いや失敗もなく堂々と踊り切って、僕も日高さんもとりあえずホッとした。ただ気になる事がひとつ……
控え室に戻るとお弁当が用意されていた。
「わっ美味しそう!やっぱ大きな番組だとお弁当のレベルが違うね」
「日高さん、食べる時間ある?」
「うん。生放送開始まで少し時間あるから食事してから順番にヘアメイクね」
お弁当を手に取ってそれぞれの席で食べ始めたメンバーはさっきより緊張が解れた様に見える。
『はい、これ凌太くんのお弁当。』
「ありがとうございます」
『凌太くん、、大丈夫?』
「えっ、何がですか?」
『いやさっきのリハーサルで何となくちょっとふらついてるように見えたから……』
違和感を覚えた事を本人に直接聞いてみる。
「いや、別に何ともないですよ。ちょっと緊張してて動きが固くなっちゃたからそう見えたのかも」
そう言っていつものように大きな口を開けてお弁当を食べ始める凌太。
『そう。それならいいけど、、』
少し考え過ぎたかな……最近知らないうちに過保護になりすぎてるのかも。
そして本番の生放送が始まった。DeeperZの出番は4番目で
控え室のモニターで番組の放送を見ていると、とうとうスタンバイの声がかかる。メンバーは体を温めるように動かして行く準備始める。すると奏がすっと寄ってきて小さな声で言った。
「あの、、、千遥さん。」
『ん?』
「今日本番終わったら少し時間あります?」
『いいけどどうしたの?』
「いや……ちょっと話があって、、」
『うんいいけど、終わったらゆっくりね。とりあえず今はステージ頑張って!』
スタッフに誘導され出ていく6人。千遥と那奈は控え室にあるモニターで無事に終わるのを祈りながら観ている。たった5分でもデビューしたばかりの彼らにとっては大事な舞台、そして貴重な経験だ。
そしてDeeperZの初の生放送ステージが始まった。
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