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War25:Under One Roof
『はい?……今なんて言った!?』
「だから!今日からここに住みます!」
『えっと……冗談だよね?」
得意げな顔でキャリーバックをトントンと叩いて見せる彼の顔に冗談の"じ"の字も伺えない。
ここのところ大人しくて忘れかけていたけど彼は理解不能な子だった事をやっと思い出した。
『ところでー…上にはどうやって?』
「あー!オートロックの番号ならこの前覚えたので大丈夫です!」
『いやっ大丈夫って何が!?、、、あっ!あの日後ろから見て…っ?ちょっと!滅多 に人の家の暗証番号なんて覚えるもんじゃないよ』
「千遥さんが不用心なだけですよ。そのうち泥棒に入られますよ」
『まぁ今まさに泥棒に入られてるようなもんだけど、、忠告どうもありがとう』
少し不貞腐れながら千遥はキッチンの方に歩いていく。やっと冷静に話が出来ると冷蔵庫から水を取り出とソファーに座った。まずはここに来た真相を確かめないと、追い出す理由も見つからない。
『それはそうと、家出ってどうゆう事?」
「あー…話したんです今朝。親にデビューの事」
口に含んだ水を吹き出しそうになったのを何とか直前で止めて奏を見つめた千遥。
『えっ!……それで?』
「もちろんすんなり受け入れてくれる訳もなく、、ちゃんと真剣に考えてやってるって説明したんですけどダメの一点張りでとうとう喧嘩になって……」
『はぁ、、それで家を出てきたってわけ?』
「はい…だって出て行けって言われたから。」
溜め息をつき下を向いた千遥の隣に勢いよく座ったと思ったら、両手を千遥の頬に当てグイッとこちらに振り向かせた。
『んっ……何っ!?』
「俺はこの仕事に誇りと覚悟を持ってやってます!!」
真っ直ぐでブレない瞳に見つめられ、千遥は胸に何かでグッと刺されたようなに熱が広がるのを感じた。強くも儚い瞳と頬に添えられた手の十字架の縛りから逃れる事が出来ない。この感情をどう処理すべきか、、、。
ふと我に返って、奏の両手を振り払ってソファーを立ち上がって奏から離れる。
『ちょっ!!とっ、突然何??』
「えっいや、だからこうやって真剣に親に話したんです。今のは再現です」
『だいたい家出したからってどうしてうちに来たの?他に行く場所あるでしょ』
「無いですよ」
『例えばさ学校の友達とか、メンバーの家とか』
「俺まだ高校生ですよ。学校の子はみんな実家か寮だし、メンバーも光だけが一人暮らし」
『じゃあ光くんの所に行けば?』
「光の家はジュピターがいるから」
『ジュピター??』
「猫です。俺アレルギーなんです猫の。それにー…昨日、約束破ったの千遥さんですよ」
"約束"というのを頭の中で思い出そうとしたけど見つからなくて思わずキョトンの顔がバレてしまった。
「ほら。やっぱり忘れてる!昨日、控え室で話あるって言いましたよね」
『あっ、思い出した!』
「昨日この事を相談したかったんです……けど凌太に付き添って帰ったから。」
『あっ、そうだったんだ。ごめんね、、昨日はバタバタしちゃって』
「だから責任取って下さいね!」
悲しい顔してると思いきや急に笑みを溢 したり嬉しそうな顔をする彼は色んな感情が行ったり来たり落ち着かない。
『……わかった。じゃ居てもいいけど両親ともう一度ちゃんと話す事。それまでの間だけ』
「はい。ありがとうございます」
予告もなしに始まった生活は突然嵐のようにやってきた。
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