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War26:Under One Roof②

 「荷物はどこ置いたらいいですかー?あっ!ベッドルームはあっちか!」  旅行先のホテルに来たかのように足取り軽くパタパタと移動する奏をキッチンから見ていた。  (まった)く家出して悲しんでんだか嬉しんだかどっちなんだ。大体いくら知ってる子はいえ、家出した未成年を何日も置いておくのは如何(いかが)なものだろうか。やはり早めに話し合って帰さないとな。  「そういやこの間来た時この部屋は見てなかったけどいい部屋ですね広いし。まぁ散らかってますけど」 その言葉を寝室の部屋入り口に持たれ掛かって聞いていた千遥。  『文句言うなら別に家に帰ってもいいよー』  「いやっ冗談ですよ!あっ、しかもダブルベッドじゃないですか、これなら二人も充分寝れますね」  『そうだ……ん?、、二人何言ってんの?いやっ一緒には無理だよ!』  「どうしてですか?別に一緒でも俺は平気ですけど」  『ダメ!ダメ!僕はソファーで寝るからベッド使って』  男同士が同じベッドで一緒に寝る状況は僕には理解出来ないけど、今の若い子達はそんなものなのか、、それとも僕が変に意識し過ぎてる?  『ところでー…今日の予定は?』  「んーと、、午後からスタジオ練習です」  『そう。僕も午後から事務所行くし一緒に行こうか』  「はい。あ、、その前に……」  『ん?』  「食べる物を…何か、、」 空腹状態のお腹に手を当ててまるで子犬のような目で欲しがる奏をさすがに放っておけない。  『わかったよ。じゃ適当に何か作るけどパンとかでいいよね』  「はいっ、ありがとうございます!」  千遥はキッチンに戻ってテレビをつけて支度を始めた。いつもはほとんど朝食なんて食べないから何を作ればいいのか。んーと考えながら冷蔵庫を開けて食材を確かめる。  〈さぁ今日は明日、公開される映画「Moon right love」に主演の片桐隼斗さんにお越し頂きました。〉  テレビから流れる朝のワイドショーのゲストトークコーナー。耳に入った名前に視線は自然にテレビの方へ向く。  〈よろしくお願いします。〉  〈いや〜主演作が次々公開されてますけど今回の作品はどういったお話ですか?〉  〈今回は病気を持ったヒロインと研修医の恋の物語ですね。〉  冷蔵庫を開けたままテレビを凝視する千遥が目に入り近寄って扉を閉めた奏。  「千遥さん?扉開けっぱなし。冷気逃げますよ」  『あっごめん。すぐ用意するから』   「、、、そう言えば片桐隼斗って役者するまでアイドルグループにいたみたいですよ」  突然の奏の言葉に少し動揺を見せた千遥だが冷静にいい返す。  『へぇーそうなんだ?意外だね』  「まぁ俺も詳しくは知らないですけど」  知らないフリして卵を割って()いでフライパンに油を敷いて、、と急に忙しく動く千遥を見てちょっと意地悪な表情をする奏。  「この映画、面白そうだし今度の休み一緒に見に行きません?」  『えっ……観に?』  「ダメですか?お願いします。映画観るのもこれからの活動の勉強の一つだし、あんまり一人行動するなって言われてるから、、」  まぁ考えてみれば隼斗の作品をちゃんと映画館で観る事はなかったし、、たまには行ってみてもいいかも。  『うんいいよ』  「やった!じゃ時間調べておきます。楽しみにしてますね」  何だか自分の生活の中に彼がどんどん侵入している気がしてならないが、それはまだ担当者とアイドルの関係に過ぎない。 それ以上でもそれ以下でもない状態をこの先も続けていくだけの事。

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