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War27:Under One Roof③

 朝ご飯を食べて二人は電車に揺られ練習スタジオに向かう。電車内でも何故かテンションの高い家出少年にこの先が思いやられる。 話しこんでいるとあっという間にスタジオに着いた。  「あれ?大庭さん。お疲れ様です!」  『あっ日高さん、お疲れ様です。』  「あれ?今日は奏くんと一緒にスタジオに?」  「そうなんです。今日から一緒…」  『あ゛ー!えっと……下で会ったので一緒に上がってきました。』  奏の言葉を(さえぎ)目配(めくば)せする。家に居る事はおろか、家出の理由も含めて内緒にしたいのに奏はそのつもりはないらしい。 "何で?"の顔をしている奏を軽くスルーした。  『早く来たからまだみんな来てないな』  「もうすぐ来ると思いますよ!」  「俺、着替えてきます。」 奏は大きなリュックを背負って更衣室へ入っていく。  「そう言えば昨日あの後、凌太くん大丈夫でしたか?」  『はい。病院で点滴してもらって休んで家まで送って行きました』  「良かった!こんな事初めてだったからびっくりしちゃって」 昨日の出来事を思い出して顔を歪める那奈。     「おはようござい…あれ?大庭さん。来てたんですか?」 スタジオに入ると真っ先に千遥を見つけた凌太が明るく駆け寄って来た。  『うん。ちょっと顔出しに。すぐ事務所戻るけどね。あっ凌太くん、体の具合どう?』  「もう大丈夫です。こ迷惑かけました。」  『頭ぶつけた部分はどう?』  凌太の頭を触りながら傷の様子を聞く。すっと練習着に着替え更衣室から出てきた奏は2人の様子を背後から見ていた。2人の親密なムードに心がざわつき嫉妬に似た感情を覚える。  『今日くらいは休んで……』  「凌太!大丈夫かー!?」 千遥の言葉を消す程の大声で会話に入ってきた奏に那奈と凌太も驚きの顔で見た。凌太の肩を組んで体のあちこちに触れる。  「痛いところない?ごめん、あのとき俺とぶつかって倒れたんだよね……」  「ううん。ぶつかったのは僕のせい、奏は悪くないから」 戻って来るないなや饒舌(じょうぜつ)に話出す奏を黙って見ている千遥。    「あっ。千遥さんはもう行って下さい。」 睨んだような痛い眼差しを千遥に向けて言い、肩を組んだまま2人を更衣室へ入って行った。  『……何だ?』  突然に豹変(ひょうへん)した態度に訳も分からず那奈と顔を見合わせた。少し怒った様子は見えたが怒られる理由もないしやっぱり理解不能とした言い表せない。    『あっ、じゃ僕もう事務所行きますね』  「分かりました」 ペコっと小さく頭を下げてスタジオを後にした。 エレベーターに乗り込む千遥の姿を更衣室のドアの隙間から確認した奏は"はぁ"とため息をついた。  事務所に出勤すると戸川を囲うようにパソコンに群がるスタッフ達を見て寄っていく千遥。  「おはよう……あれ?みんな集まってどうしたんですか?」  『あー大庭さん、アレですよ!CDのランキングが出たんです。DeeperZの!』  デビューから一週間が過ぎた。いわゆる週間ランキングの集計順位が発表されたらしい。怒涛(どとう)の一週間でそんなものの存在すら忘れていたけど確かにデビュー曲の順位はグループにとっても大事な数字だろう。気にならないと言えば嘘になる。  「よし!じゃ見るぞ!」 パソコンの目の前の戸川がマウスをクリックしスクロールをすると画面が下っていくと緊張感も増していく。アルバムやDVDなどのランキングも同時に発表される中に"CD シングルランキング"のタイトルを見つける。 "1位 DREAM&GO /1ON 1 "2位 SMASH!/ DeeperZ  

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