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War28:Under One Roof④
「わぁすごい!!」
「2位ですよ!おめでとう!」
DeeperZはデビュー曲で初登場2位を叩き出した。事務所内がお祭り騒ぎのように揺れる。考えてもみなかった順位だった。最高のデビューを飾れたのは6人の努力の賜物 、彼らにも早く伝えてあげたい。
「それにしても1 ON 1は強いですね。これで3週連続1位じゃないですか?」
やはりどうしてもみんな気になるグループ。確かに昨日の生のステージは今でも鮮明に残っている。それだけすごいパフォーマンスだった。
「いい意味でライバルになりそうですね!」
『えぇ。同世代の子達が活躍してると彼らにもいい刺激になりますし』
たくさんいるアイドルの中で突き抜けるのは容易なことではない。アイドルの寿命は短い。それを身を持って経験したからこそ今、自分が出来る全てを彼らに捧げたいと思った。
DeeperZを諦めたくないと。
◆◇◆◇◆
午後からのスタジオ練習もメンバー6人気迫に溢れて抜かりはなかった。むしろデビューした事で精神的なプロ意識が芽生えた様に見える。
少し休憩!の言葉によっこらしょと疲れた体を休めるメンバー。
"帰りはどうしますか?"
"どうって終わった先に帰ってて"
"待ってますよ!"
"遅くなるから先に帰ってて。あとくれぐれも他の人に僕の家に居る事は内緒にね"
"もう言いました"
"えっ!!誰に!?"
"嘘です!笑"
千遥からの怒りのスタンプにうっすら笑みが溢れる。休憩時間にもこんなたわいのない会話が出来る事に幸せを感じ、返信する内容を考える顔が緩む。
「奏、何ニヤけてんだよいい事でもあった??」
スタジオの隅っこに座っていた奏の隣に腰掛けながら旬が言った。慌ててメッセージ画面を閉じてスマホを下に向ける。
「別にニヤけてないし!」
「ふーん、そうだ昨日出演したテレビの反応見た?」
「反応ってSNS?」
「そうそう」
「見てないけど、、って何?旬ってそうゆうの気にするタイプ?意外だね」
「気にするってゆうか……みんなが俺達をどう思ってるかは知りたい。特に歌とかダンスに関して」
旬は小学生からダンスを始め、高校入学したものの数ヶ月で中退。そのあと1年間アメリカで本格的にダンス留学をした。言わばダンスに関しての情熱や自信は誰よりもある。だからこそ周囲の反応や評価に人一倍過敏 になるのかもしれない。
「どんな事書いてあんの?」
そう言うと横でスマホを操作して奏ぬ手渡す旬の顔は明らかに曇っていた。
「これ見てみ」
"顔はいいけどそれだけ"
"1 ON 1のパクリ?全然レベル違うけど"
"新人グループだから下手でも仕方ない"
「あー…まっ意見なんて人それぞれだしあんま鵜呑 みにしない方がいいと思うけど」
「やっぱり新人だなって思われのが悔しくて。デビューしたばかりでもプロはプロだから、すげーって言われたい」
「それは俺だってそうだよ」
「どうしたって比べて順位を付けたがるのがこの世界だと思ってるから、それならいっその事1番になりたい」
一つしか歳が変わらない旬。この歳で既に色んな経験をしているだけあって思考が違う。体の向きを変えてまじまじとしゅんを見つめてくる奏。
「えっ、、何!?」
「いや、ホントに18なのかなーって」
「何だよそれ!サバよんでないからな。そうだ、練習終わったらご飯行かない?」
「あー…ごめん今日はすぐ帰らないといけなくて。また今度!」
「そっか、分かった。あっ練習再開だって」
「よし行こ!」
"1番になりたい"思っていてもなかなか口に出せない言葉。それをいともあっさり言ってみせる旬を羨ましくて尊敬さえする。
もっと思ったまま声に出して言わないと伝わらない、、叶わない。
練習を終え千遥にメッセージしてスタジオを出た。
"終わったので先に帰りますね"
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