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War55:Secret Lovers

  帰国してあれよあれよという間に3月。 厚手コートを脱がし心なしか活動的になる時期。 それなのにお昼を過ぎても布団から出られないのは昨日終電で帰宅したせい。そして誰かと朝まで電話していたせい。  『はぁ。シャワー行こ』  やっと体を起こしてお風呂へ。溜まった洗濯物を横目にあくびをしてシャワーを一気にあびた。 熱いお湯が眠気を飛ばしお風呂から出た頃、家のベルが鳴り急いで出た。  「千遥さん!来たよ!」 ドアを開けると制服のままニコッと笑った奏が顔を出した。  「家のスペアキー渡したんだからそれで入ってきなよ。わざわさ鳴らさなくてもいいのに。」  「それじゃ面白くないじゃん。家にいるんだったら迎え入れて欲しいんですよ。だってその方が恋人同士みたいだから!」    "恋人同士"って言葉がまだくすぐったいけれど、帰国してからいわゆるそうゆう形になった僕達は仕事以外でもたまに会う時間を作っていた。  『それでテストはどうだったの?』  部屋に入って来慣れたようにいつもソファーの定位置にぽすっと座った奏。 まさに進級がかかった学期末テストの真っ最中。最近はテストで帰宅が早く、学校から近い千遥の自宅にここ数日間は入り浸っている。  「バッチリでした!千遥さん言っとくけど俺、割と勉強出来る方なんで心配しないで下さい」  『はいはい。まぁそれならいいけど。もう少しすれば新曲のプロモーション活動も始まるから、それまでは学校の方に集中してね』 隣でスマホを(いじ)り始めた千遥を横からじっと見つめた。  『ん?何?』  「……シャワー浴びてたんですか?」  『うん。さっき起きたばかりなんだよね』  「へぇ〜、もしかして俺来るの知ってて準備してたとか!?」  『えっ、準備って……何の??』  「(とぼ)けないで下さいよ」 すっと千遥に近寄ってくんくんと首の辺りを犬の様に匂いを嗅いだ。  「千遥さん、石鹸のいい香りがする」  そう言って首すじに何度もキスをする。軽いキスのつもりが抑えが効かなくなり息を漏らしながら噛み付く様に強く吸った。  『あっ、ちょっと……ダメだって!』  「大丈夫ですよ、跡はつけないんで」  そう言うと正面から視線を合わせて深いキスをした。舌を入れて絡め合うと、時折苦しそうな息が漏れる。 もぞもぞと奏の手が千遥の服の中に忍び込みまだ熱を持った火照った肌を下から上へ滑らせた。  『っん…、、ン……』 顔の向きを変えたと同時に千遥の体を押して横たわった。上からキスを落としながら、垂れ下がってくるネクタイを鬱陶(うっとう)しそうに結び目に手をかけ緩めようとした奏。  『ちょ、、待って!!ルール!!』 口を外すと奏の手を掴んで止めた千遥の声は隣の部屋まで聞こえそうなほどだ。  「もぅ、いい所だったのに」  帰国してからお互い付き合うルールを決めた。ただでさえ難しい関係性、これ以上(もつ)れさせない為のもの。 "付き合っている事は誰にも言わない" "仕事には持ち込まない"  そして最後は"エッチは禁止!"  『ほら、この左手!』 トレーナーの中の入れられた左手をバシッと軽く叩き疑いの目で奏をみると勿体無い様な顔で手を戻した。  『それと右手はネクタイ外してどうしようとしてたわけ?』  「あぁー…まぁそのルールに関しては俺は承諾してないですけどね!」  『ったく油断も隙もない』  「……でもどうしてですか?付き合ってるんだからシたいと思うのは当然でしょ?好きな人なんですから」  くりくりした目を輝かせて何を言うかと思ったら改めて"好き"とかやっぱり照れる。確かに彼が言ってる事は間違ってない。 だけど男同士でシた事なんてないし、寧ろ彼に躊躇(ためら)いがないのは思春期特有の好奇心なのかそれとも経験あったりするのかな。 でもまさかそんな事聞けるはずもないけど、17歳ならそれなりに恋愛や付き合った経験もあるだろう。  『いや、何て言うか……心の準備みたいな?』  「何ですかそれ?いい歳して女子中学生みたいな事言って」  彼は鼻で笑うけどこっちは至って真面目。そりゃ27歳のセリフにしては全く可愛くはないけど少し時間が欲しいのは本音。  『悪かったね、中学生じゃなく三十路のおじさんで』 体を起こして奏の乱れたネクタイをキュッと戻した。  「でもまぁ()らされるのも悪くないかも。まぁしばらくはキスだけでいいです。でもいつまで我慢出来るか分かりませんからね!」  少し拗ねたように断言をして、チュッと軽いキスをして鞄から教科書を出すと何事もなかったように勉強を始めた奏。    「あと、今日泊まるので』  『ちょっと!また勝手に決めて!』  結局付き合い始めても相変わらずの振り回され様で何か変わったかと聞かれても答えが見つからないけど、彼を大切に想う気持ちは日に日に増しているのは確かだった。

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