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War58:Secret Lovers④
『それではよろしくお願いします。失礼します』
今日は千遥とスタッフ数名は朝からレコード会社へ来ていた。スムーズに打ち合わせを終えて部屋を出る。大手のレコード会社だけあって迷路のような廊下を歩いていく。高層ビルの中には多数の会議室やレコーディングスタジオまであった。
『僕はこのまま直帰するのでお疲れ様でした』
そう言って事務所スタッフと別れた。エレベーターの前で今後の予定を確かめようとスケジュール帳を開いた瞬間、挟んでいたボールペンが床に落ちて足元を転がった。
『あっ、、!』
ボールペンを目で追った先に人影が見えた。
「これ、落ちましたよ」
『あっ、ありがとうございます。……ん?』
ボールペンを受け取り、深く被った帽子から微かに見えた相手の顔に見覚えがあって思わず見入った。日頃からCMやドラマでよく見るその顔はすぐに思い出した。
『あのー…もしかして1on1の?』
「えっと…ごめんなさい。どなたでしたっけ?」
帽子を少し上に上げ千遥の顔を見た。
『DeeperZの事務所スタッフです。年末の歌番組で共演した時少し挨拶させていただいた』
「あー…すいません。色んな方と会うので忘れてしまって。改めて中崎朔 です」
『大庭千遥です。あれ?えっとー…今日は一人なんですか?』
周りを見渡してもスタッフらしき人はいない。
「、、はい今日は一人です。まぁ打ち合わせみたいな感じですね」
伏せ目がちに目を合わせず声も小さく答えた。
『そうなんですね。うちもKSO レコードなので今日は新曲の打ち合わせに。同じレコード会社だったんですね!』
「……そうですね」
エレベーターの点滅が上の階を表示して扉が開いて中から数人が降りてくる。
「あっじゃあ俺、上に行くので失礼します」
軽い会釈をして中に乗り込んだ朔に千遥も会釈を返して扉が閉まった。
エレベーターを降りながら千遥は違和感を覚えた。短い時間だけど初対面の時とイメージが違って見えたから。もっと覇気 があって明るくてアイドルのお手本みたいな子だったけど、そんなキラキラ輝くオーラが全くなく窶 れているように見えた。
アイドルだってステージ降りればオフの顔もある。ましてや大人気グループで俳優業もやってる売れっ子の彼は相当多忙だろうし、不自然ではないけど別人のようで少し気になった。
車に乗りこみ鞄を助手席にポンと置いて時計を見る。"PM 1:28"こんな早い時間に仕事が終わって快晴の暖かい昼下がり。社用車もあるしこのまま家に帰るのも勿体無い。
『そう言えば、ここから奏くんの家近いな』
ふと頭に浮かんだ奏の顔。だけど用事があると言われたし、きっと家にはいないだろうけど。
そんな事を考えながらシートベルトをしエンジンをかけ車を走らせた。
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