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War69:10 years ago⑤
「お兄ちゃん!起きてー!」
朝日が差し込んでまだ起きる気配のないソファーで眠る千遥の体を揺さぶる。耳の近くでモーニングコールを繰り返す美織。
『あーもう!今日は午後からなんだよ。まだ寝させて!』
「お腹すいた〜朝ごはん!」
朝から妹の甲高い声で起こされチクチク小言を聞く。そう言えば上京するまではこれが実家での日常だった。
まだ起ききっていない頭を動かして簡単な朝食を作り出始める。美織は面白がりながら部屋の中を物色し、DeeperZのCDやら雑誌並べた棚を見ている。
『あんまり勝手に触るなよな。それでいつ終わるんだよ、その研修ってやつは』
結局半ば強制的に作られたご飯を美味しそうに食べている美織を横目に洗濯機を動かし始めた千遥。
「だから一週間だってば〜」
美織はデパートで化粧品を売る美容部員をしていて、今回東京での行われる本社研修に参加する為に来た。
『ホテル取ればいいのに何でうちに?それくらい会社が負担してくれるだろ』
「別にお兄ちゃんの家があるからいいと思って!あっ、それより鍵を頂戴!」
『ん!?……鍵?』
スペアの鍵は奏に渡していて他にはない。返答を考えながら手を持った洋服をぐしゃと丸めて洗濯機に投げ入れた。
『あー…鍵は少し前に無くしてさ……だから鍵はポストに入れておくから!』
「鍵無くすとか大丈夫?不用心すぎるよ。田舎と違うんだからねー」
『はい、はい』
「それにしてもびっくりだよ!DeeperZがお兄ちゃんの事務所だったなんて」
『まぁうちの事務所今までアイドルグループはいなかったさ』
「あんなイケメン達に囲まれて仕事出来るなら安月給でもブラック会社でもいいよね〜」
一週間大人しく過ごしていれば美織に気付かれる事もないだろう。絶対に彼との事はバレないように気をつけないと。女の勘は鋭いって言うし下手に動けば危険。
『食べたら早く準備しろよ。駅まで送っていくから』
美織との一週間生活は波乱で幕を開いた。
◆◇◆◇◆
「そうゆう訳でCM撮影は来月下旬で!それじゃ何もなければここまで」
午後から事務所での会議で戸川の締めの一声で打ち合わせが終了した。
「千遥くん、ちょっといい?」
『あっ、はい』
スタッフがゾロゾロと退出していく中、戸川に引き留められ部屋に2人になった部屋。
「最近の彼らはどう?」
『えぇ。プロモーション活動頑張ってますし、本人達もこの間のイベントやサイン会も手応えあったみたいです。売り上げもいい調子です』
「そうだね。あぁそれでね、ちょっとお願いがあって。"倉持 るり"のマネージャーをやって欲しいんだよ」
『えっ?……僕がですか?』
"倉持るり"はティーン雑誌モデル出身で最近は女優としてもドラマや映画にも出ていて、この事務所にはティーン誌を卒業してから所属している。
「と言っても3ヶ月くらいの間だけ。今のマネージャーが体壊して入院する事になってね。復帰するまでの間だけって事なんだけどどうかな?」
『まぁ……そうゆう事なら』
「ごめんね、他に頼める人いなくて。もちろんDeeperZの方も引き続き見て欲しいんだけど、少しの間頼むよ」
『はい。分かりました』
忙しくはなるけど3ヶ月くらいなら特に問題ないか!とは思いつつ、マネージャーをするとなると奏と会える時間が削れていくのが少し悩ましいとこれろ。
デスクに戻ると昨日の事がフラッシュバッグした。昨日のあれは、、、もし美織が来なかったらどうなっていたんだろうか。
思い出して高まった鼓動をコーヒーを飲んで沈めた。
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