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War71:Curse of age②

 「ただいま〜」  『おかえり』  「あぁぁ〜疲れたー!ってちょっとお兄ちゃん、、辞めてよ。それはさすがにキモいって!!」  『はっ?ちょっと勘違いするなよっ、これも仕事なんだよ。ってとにかく字が小さ過ぎて読見づらいっ!』  るりが2年前までモデルとして載っていた雑誌"TEENS☆BOMB(ティーンズボム)"をテーブルに10冊ほど積み上げ上から順番に広げている。帰宅してからずっと千遥は、細々と小さな文字がぎっしり散らばったページに顔を近づけて目をしぱしぱさせながら一生懸命見ていた。  「仕事?」  『そう!戦うにはまずは相手を知る事からだなって思って』  「戦うって何?誰と?ってかこれ数年前のやつ!?懐かしい〜ちょうど私も読んでたもん!」    美織は表紙を見て懐かしさに浸りながら読み始める。10代の女子ならみんな手にした事ある人気雑誌でモデルを務める女の子達は憧れの存在。ちょうど読んでいた世代の頃の美織も憧れたそのうちの一人だ。  「あー!るりちゃん可愛い」  『……その子、、人気だったの?』  「うん、一番人気だった!ほらだって見てよ、るりちゃんの表紙ばっかりでしょ?」  そう言われてここにある表紙のほとんどに彼女はいた。誌面の中には多くの女の子が載っているのに表紙は大体決まった子、数人がペアやソロで表紙を飾っていた。  『なんで表紙は決まった何人かだけ?』  「それは専属と読モ違い。それとやっぱり人気の違いかな」  『読モ、、って聞いた事あるけどみんな違うわけ?』  「ってか!お兄ちゃん何年この業界いんのよ〜こんな事も知らないとかダメじゃん!仕方ない、優しい妹が教えてあげる!」  美織はページを開いて指を指しながらドヤ顔で説明を始めた。専属とは専属モデルの意味で、いわゆるプロのモデルでその雑誌との専属契約を結んでいて他の雑誌には出ない。 逆に読モは読者のモデルって言うだけあって一般読者からの応募で選ばれたバイト感覚の子達。  『ああ、なるほどね!』  「だけどかなり競争が激しいみたいだよ。表面では仲良さげに写ってるけどお互いライバル心剥き出しで蹴落とし合いだって聞くよ」  『こんな笑顔に写ってるのに、、女子の世界は恐ろしい……』  「専属でも人気が低迷するとだんだん少なくなっていくし気が付いたら居なくなった子もいたよ」  それでなくてもティーンズ雑誌は20歳までと わかりやすい期限があって、若さを売りにしていた分その殻を破って大人の世界で新たな挑戦するのはとても大変な事だ。  「倉持るりちゃんは単独表紙も多かったし超人気モデルだったよ!」  『そっか。って随分と詳しいけど何で?』  「まぁー…読モの募集に応募しようとしてた時あったから、、あー!けど思い止まってしなかったんだけどねっ」  『うん。それは正解だったな!』  「ちょっと!どうゆう意味よー!」  きっとそんな世界に長くいたからか周りへのライバル心や警戒心が拭えず、新しいこの事務所にもまだ信頼がないのだろうか。  憧れる存在になるのは容易い事じゃないし、彼女の努力や功績は讃えたい。だからこそそのスター性を無駄にしたくない。それは本人の頑張りだけではなく事務所スタッフがどれだけ寄り添って後押ししてあげられるか。  期限付きの世界から抜け出してあげないと。  「えっ?もしかして倉持るりと仕事するの?」  『うんまぁ、そんな感じかな』  「えーいいなぁ!会いたい!会わせてー」  『だめ。ホント美織はミーハー過ぎ』  「ケチくさ〜!あっじゃぁさDeeperZ全員ならいいでしょ?実はモデルやってた時から佐田朋希好きなんだよね〜!お兄ちゃんお願い!!」  『……朋希くん……モデル、、そうだ!』  雑誌をバシンッと叩いて美織を肩に手を置いた。  『美織ありがとう!いつもはうるさいだけだけどたまには役に立つじゃん!』  「はっ?何!?それ褒めてるのか(けな)してんのかどっちよ!?まぁ何だかわかんないけど会えるならラッキー♡」  この事務所に来たからは一人にさせない。その子の夢を叶える為に全力を尽くす。僕がこの仕事をしていく上で小さいながらも決めた覚悟だった。    

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