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War74:Curse of age⑤
さっきまでいたレコード会社から少し離れた駐車場まで二人で歩く。5月に入って随分と暖かく過ごし易くなってきた。エアコンもいらないと車に乗るとすぐに窓を開け、気持ちいい空気を取り込む那奈。
「奏くんシートベルトした?じゃ出発するわね」
「はい。あの今更ですけど日高さんって運転出来たんですね」
「一応ね。マネージャーするなら免許は必須よ。ただ大きい車は運転出来ないから今日みたいな日だけね」
レコード会社からの帰り那奈の運転している姿を見るのはこの日初めてだ。少し心配そうな顔の助手席の奏。いつもメンバーと一緒だから大きな社用車での移動になる。大きな車には運転手がいるし、こうやって二人きりになる瞬間もほとんどない。
「奏くんどうだった?番組の話聞いてみたけど出来そう?」
「はい。緊張しましたけどプロデューサーも優しそうで安心しました。あと中崎さんも頼りになるお兄さんって感じで」
「そうね、中崎くんみたいな人気の子と一緒にレギュラー出来るなんてラッキーよ」
デビュー2年ですでに大人気の1 on 1はグループだけではなくそれぞれ個人でドラマやバラエティーで活躍している。そんなグループのセンター中崎朔とレギュラーをすると言うのは奏にとってもプラスになる。
「いやらしい話だけど中崎くんと一緒って事は彼のファンからも見てもらえて知ってもらえるチャンスだからさ」
「俺なんか彼と比べると何もかもが劣ってるし見てもらえたところで……何で俺を選んでもらえたのか未だにわからなくて」
「何言ってんの!DeeprZだってランキング一位取るグループなんだから自信持って!」
那奈の気合いはヒシヒシと伝わる。確かに一人の仕事もグループの飛躍につながる。他のメンバーの様に経験値も特技もこれと胸を張れるモノがない奏にはグループに貢献出来るチャンス。
「はい。頑張ります!そうだ日高さん。あのー…話かわるんですけど、、最近千遥さんに会いました?」
「大庭さん?うん、昨日事務所で少しだけなら会ったけど何で?」
「ホントですか!?どんな様子でした!?」
あまり深く聞くのは変に思われるから避けたいけど会う事はおろか連絡すらない千遥の今の様子をどうしても知りたくて質問してしまう。
「えっとそうねー…いつもより口数も少なくて疲れてる感じだったかな」
「そうですか、、」
「倉持るりのマネージャーはなかなか骨の折れる仕事だもん。正直私だってやりたくないもん、、あっ今の内緒ね!」
付き合ってる相手の事を他人から聞くなんて。連絡がない事に少し腹が立っていたけど今はなんだか悲しさの方が大きい。
そんな時こそ相談したり癒されたいと恋人なら
思うはずなのに、、千遥にとってまだそこまでの存在に慣れていないと自信がなくなっていく。
「こうやって徐々に1人の仕事が増えていくの私も嬉しいわ。だけどそうするとマネージャー私だけだと追いつかないからもう一人は必要になるわね」
「、、千遥さんがマネージャーになる可能性はあるんですかね?」
「可能性はあるけど、戸川さんは大庭さんに色んな経験させたいみたいだから誰かの固定のマネージャーってのはどうだろうな。私は大庭さんがやってくれたら嬉しいけどねっ」
「……僕もそうだと嬉しいです。だけど、、千遥さんの気持ちを尊重したいですね」
その言葉はマネージャーか二人の関係か、、どちらの事に対して言ってるか奏自身もわからなかった。
だけど与えられた仕事や周りの期待に応える事がいま自分がやるべき事でDeeperZの夢に近づく事に繋がる。これからも関係を続けていく為に時に耐える事も必要。
「なんか奏くん大人になったね。初めて出会った時と比べてすごく変わった」
「そうですか?デビューして半年くらいですけど色んな人に応援してもらってるおかげですかね、、」
那奈にそう言われて照れた顔を隠すように窓の方を見て風を浴び空を仰ぐ奏。
待ってるばかりじゃだめなんだ。会えない時間こそ頑張ってる姿を見せなきゃ。
二人が恋人同士になって初めての試練の時期が訪れた。
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