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War82: Jealousy and Sin③
レコーディングスタジオにDeperZ全員の姿があった。夏に発売予定のアルバムのレコーディングが始まりグループ活動も忙しくなる前兆だ。
アルバムが発売すればプロモーションが始まりテレビ出演も増え、そしていよいよライブツアーを控えている。
デビューから駆け抜けたこの半年間の勢いをさらに加速させていくだろう。
「おい、奏!集中しろよー」
「えっ?あぁうん、、」
「自分の番じゃなくてもちゃんと聴いてろよ」
さっきから歌詞の書いた紙を見てるフリしてスマホ見ている奏にリーダーの光が言った。まずは1人ずつブースに入り個人のパートを録音していく。
何度目かのレコーディングだがアルバムとなれば数10曲の録音が必要。各自で曲を覚えて練習してきていた。気合が入ってる5人をよそに奏は集中できていなかった。
その理由は、、今日5月29日。奏の誕生日。
レコーディングスタジオに入ってからメンバーからお祝いの一言もない。誕生日を知ってか知らずかいつもと変わらない5人。
しかしそれとは真逆にSNSは盛り上がっていた。
"奏!18歳おめでとう♡"
"Happy Birthday kanade!"
"DeeperZの可愛い末っ子の誕生日"
ファンそれぞれが考えたメッセージや動画や画像などを載せ、スクロールをすればするほどどんどん出てくる。生まれてこの方こんなに多くの人に祝ってもらった誕生日は無い。
奏は心から喜びを感じているには違いないのだが、心が晴れない理由はメンバーにスルーされている事とはまた別で、、
「じゃあ次は、奏いこうか!」
「あっ、、はい」
エンジニアの呼びかけに力なく答えスタジオの録音ブースに入っていく。ヘッドホンを装着してマイクの位置を調節する。
アップテンポのクラブノリの曲は今の奏の心境とは正反対でいまいちテンションが追いつかない。
それでもこの状況でそんな勝手は許されない。
マイクに向かって精一杯歌う奏の歌声に目を瞑 って聞いているエンジニアの反応が良くない。それはガラス越しでも伝わって焦りに変わる奏。
「うーん……奏もう一回頭からいい?」
そうして何度かやり直しがかかり結局ラストにもう一度改めて行う。と他のメンバーとチェンジされた。隣の部屋で練習して!と少し機嫌が悪いエンジニアに言われ、そそくさと隣の部屋に移動した奏。
「はぁ、、ちゃんとやんないとなのに…ん??メッセージ、、もしかして!?」
スマホをを見るとメッセージ数件、淡い期待を持って開いた。
"おめでとう!ケーキ用意したから帰ったら食べよう!優しい姉によかったねー"
「何だ、、姉ちゃんか」
その他も学校の友達からのメッセージだった。何を期待してたんだろう。一瞬元気になったのも束の間、そもそも千遥に誕生日教えた事もない奏は"そりゃそうか"と半ば諦めて、イヤホンの耳に付けて歌の練習に意識を向けた。
その時、バチっと部屋の電気が消え真っ暗になる。突然のことで驚き奏はイヤホンを外して、停電かと暗闇の中、訳もわからずあたりを見回しスマホの明かりをつけようとした。
「ハッピ〜バースデー〜トゥユー♪」
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