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#108~#109

#108 「あぁ…着いたぁ!」 家に帰って来たぁ!! 俺は目の前のベッドにバタンキューして、ダウンした! 「いやぁ…疲れた!疲れた!しかし…俺の北斗の美しさを、奴らは目に焼き付けた事だろう!!あ~はっはっは!」 まもちゃんは芝居じみた声でそう言うと、ベッドに突っ伏した俺の上に乗っかって…馬鹿みたいに腰を振って来た。 こんな時…豪ちゃんに躾をし直されている、幸太郎を思い出してしまうんだ。 俺の愛する彼が、あの幸太郎と同列だなんて思ってない。 でも… 普通は、こんな事しない… 「はぁはぁ…あぁ…!北斗ぉ!」 どんどん息を荒くして行くその様子は…幸太郎よりも年季の入った馬鹿さを俺に感じさせてくれるよ…。 「まもちゃん…疲れた…勘弁して。」 俺はそう言うと、ぐったりとベッドに体を沈めて、そっと瞳を閉じた。 「なぁんだ!俺だって…疲れてたもんね!」 まもちゃんは不貞腐れた様にそう言うと、俺の隣に寝転がって…ぐうぐうと寝始めた。 見た目はイケメンなのにな…彼は少し、幼い印象がある。 それは、きっと…次男だからなんだ。 でも…惺山は末っ子だって言ってたな…なのに、あんなに落ち着いてる。 …と言うか、彼は…あれか… 人に関心が無いんだ…! ぐぅ… クンクン…クンクン… とっても良い香りがして、俺は重たい瞼を開いた。 すると、目の前にはおいしそうなチキンが…小さなテーブルに乗っているではないか!! 「わぁ!まもちゃぁん!チッキ~~ン!」 俺はフライドチキンが大好き! そんな俺の為に…!彼はドラムのチキンを厨房で山ほど揚げて、部屋まで持って来てくれたんだ! 「美味し糧じゃ~~!」 ベッドから飛び起きた俺は、まもちゃんが用意したワイングラスにワインを注いで貰いながら、何本食べられるのか目で数えていた。 意地汚い…? こんなの序の口だ。 なんてったって…俺は、あの豪ちゃんに、食事の時だけ”お行儀の悪いパリス“なんて別名を頂いてるからね…! そんな俺の様子にクスクス笑ったまもちゃんは、俺に手拭きを手渡しながらこう言った。 「全部食べて良いよ?…もし、食べられるならね?」 はん! 「食べられるに決まってる~!とっても良い香りがする!美味しそう~~!」 俺は胸の前で両手を組んで、ウキウキと体を揺らしながらこう言った。 「まもちゃん、大好き~~!」 「あはぁ~!だろうね~!」 まもちゃんはそう言うと、ワイングラスを俺に手渡して満面の笑顔を向けた。 「日本での、初ソリストは…素晴らしい演奏だった!これからの、北斗の活躍を期待して、今日はお祝いをしよう…!」 あぁ… 素敵すぎる…!! 一気に甘えん坊の護が、超絶イケメンに姿を変えた…! ん、も、もう…!この、ギャップが…たまんない! 「ん~!大好き~~!」 俺は、思わずまもちゃんに抱き付いて、彼の胸に頬ずりしながら、ワイングラスを彼のグラスに、コツンと…ぶつけた。 「これからの、俺の活躍に、かんぱ~い!」 あんなに悩んで、あんなに落ち込んで、あんなに苦しんでいたのが…嘘みたいだ。 今…俺は、愛する人と…大好きな食べ物に囲まれて、とっても…幸せだ。 俺は、疲れなんて吹き飛んだみたいに…満面の笑顔になった! そして、揚げたてのチキンを手に持って…ニヤけてくる口元を隠しもしないで、だらしなく笑った。 脂っこいフライドチキンには、赤ワイン! …これは、鉄板だぁ! サクッと、良い音を立てるチキン… まもちゃんの揚げ加減は、最高だった…!! 「まもちゃんも、カーネルサンダースみたいに、特殊製法に特許を取れば、寝ててもお金が入って来るのにね…?」 「悪くないねぇ…」 クスクス笑った彼はチーズを摘みながら、俺が、ガツガツとチキンを食べる様子を眺めている。 だから、俺は彼に言ったんだ。 「何、見てるの…?」 「…ん?とっても…綺麗な人だなって、そう思って、つい見惚れてしまったんだ…」 ふふ… もう…全く…! 頬を赤くした俺は、まもちゃんの鼻を突いて、誰かさんの真似をして照れ隠しをした。 「やぁだぁ!ん、もう~!」 「なぁんで…だって、とっても…美人さんなんだもん…。例えば、この目元…とってもセクシーだろ?」 まもちゃんはそう言うと、俺の目じりを撫でながら、うっとりと瞳を細めて…そっとキスをした。 どうしよう…?! めっちゃくちゃドキドキしちゃってるぅ! ほっくぅん!僕のイチモツはそれなりだよぉ!って言って来ない彼は…最高にセクシーだった… 俺はうっとりとまもちゃんを見つめながら、彼の唇を指で撫でて…こう聞いてみたんだ。 「どうして…こんなに、ムードを出して来てるの…?」 すると、彼は俺の指をペロッと舐めてこう言った。 「本当の事を言ってるだけだよ…?強いて言えば、昨日のコンサートがとても素敵だった…。北斗のソロが、一番…痺れたんだ…。」 わぁ…セクシーだ… 俺はチキンをそっちのけで、まもちゃんに食いついた! 彼の瞳を見つめたまま…彼に顔を近付けてこう聞いたんだ… 「へぇ…もっと具体的に言ってぇ…?どこが良かったぁ…?」 すると、彼は口元を緩めて瞳を細めた。そして、撫でるような声で言ったんだ。 「弾き始めの和音が…最高に痺れた…」 あぁ…!! 俺はそんな彼の言葉に興奮して、まもちゃんの唇をぺろりと舐めた…すると、止まらなくなって…思いっきりキスを始めたんだ。 「はぁはぁ…まもちゃぁん…大好きぃ!」 「俺も…北斗を愛してるよ…カワイ子ちゃん。」 -- 「先生…ただいまぁ…」 僕はパリスを連れて、先生の家に帰って来た。すると、彼は…ピアノに突っ伏して…しくしくと泣きべそをかいていた… 「…どうしたのぉ?」 パリスを足元に置いた僕は、先生の隣に腰かけて、マフラーとコートを脱ぎながら彼にそう尋ねた。すると、先生は…僕を抱きしめて、悲痛な声を絞り出すようにして…こう言ったんだ。 「森山君の方が、俺より…イケイケドンドンかもしれない…!」 はぁ… 「先生は僕の言った事…何一つ聞いちゃいないんだぁ…!」 呆れた様にそう言った僕は、先生の頭を抱きしめて…丸まった背中を撫でながらこう聞いてみた。 「…イケイケドンドンだったら…何が嫌なのぉ…?」 すると、先生は僕の腰を抱き寄せてこう言ったんだ… 「豪ちゃんが…取られちゃうぅ!」 はぁ… 「先生…?お馬鹿さんの、理久さん?そんな事、どうして心配するのか…僕には分からないよぉ…。ほらぁ!泣きべそはお終いっ!美味しいチキンを貰ったんだぁ…!一緒に食べて、お風呂に入って…」 「一緒に寝る…?」 僕の手を握って、先生が、しょぼくれ顔でそう聞いて来た… だから、僕は首を傾げてこう答えたんだ。 「一緒に寝るぅ。」 「…分かったぁ。」 先生は、惺山の指揮がとっても上手だったから、自分と比べて…落ち込んじゃったんだって。僕は、その気持ち…よく分からないよ。 だって、彼は先生のお弟子さんなんだもん。えっへんと胸を張って、さすがわしの見込んだ男じゃ!って、喜ぶ事なんじゃないのって…思っちゃうんだぁ。 先生は、むしゃむしゃと美味しそうにジェンキンスさんのおばあちゃんが作ったチキンを頬張って食べてた… もしかしたら、お腹が空いて…変な事で弱気になっちゃったのかもしれない。 僕は、そんな先生にワインとカナッペを出して、一緒に摘まみながら、彼の顔を覗き込んで…こう言ったんだ。 「先生は…お腹が空いてたのかもしれないねぇ?」 すると、先生は僕を上目遣いに見て、首を傾げて見せた。 「…なぁんで?」 今日のカナッペには、クリームチーズと、生ハム…そして、まもるの大好きな黒コショウを潰してかけた…。 そして、僕はまんまと、大きな黒コショウの粒を食べてしまって、辛くて顔を歪めて舌を出したんだ。すると、先生はそんな僕の舌を指で撫でて言った。 「辛いの…辛いの…飛んでいけ…!」 そんなんで飛んでいく訳無いのに…!馬鹿なんだ! 「ふふぅ!先生って…本当、お馬鹿さん!」 僕はそう言ってクスクス笑うと、先生の鼻をチョンと叩いて笑った。 お風呂に入った僕は、新しく買って貰ったフワフワのパジャマを着て、先生のベッドに寝転がって、ヘッドホンを付けた。 足元には、毛布の上に丸まったパリスが、気持ち良さそうに寝ている。 「さてさて…」 そう言って取り出したのは…僕の極秘のノートだ。 12月21日… 出来る事:楽しくバイオリンが弾ける事! 出来ない事:落ち着いてコンサートを聴く事! 目標:なし ペラペラとノートを見返しながら、何の進展もない自分の状況に…首を傾げてため息を吐いた。 “惺山のコンサートを先生と、なおいさんと、いおりさんと聴いた。彼はとっても素敵だった。爆発したんだぁ!音の津波が起きて…お客さんを襲った!とっても、素敵” そんなメモを残して…彼のコンサートのチケットを挟んだ。 そして…こんなメモも残した… “先生は変な事で落ち込んでいた。そんな事を気にする事ないのに…だって、先生は一番カッコいいんだから。おかしいよね?だから、僕はお馬鹿さんって…2回言った。” そして、耳に付けたヘッドホンで、フランク・シナトラの曲を聴きながら、うっとりと瞳を閉じて、ベッドに頭を落とした。 なんてエッチな声なんだろう… 僕はそんな事を考えながら、惺山の投げキッスを思い出して…ムフムフと笑った。 ステージの上と…客席… 話せなくても、傍に行けなくても…あなたは、僕の為に…音色を響かせてくれた。自由に音を楽しむ…そんな音楽を僕に聴かせてくれた… 惺山、愛してるよ… …いいや。愛してた…かな… …でも、やっぱり… はぁ… 僕は…馬鹿野郎だな。 下らない考えを打ち消す様に、耳に聴こえて来るシナトラの声に集中して、それ以外を…頭の中からすっぽりと放り出した…。 すると、僕の手元のノートとペンを誰かが持って行って…ベッドが音を立ててきしんだ… 隣に寝転がった先生は、僕のヘッドホンを一瞬だけ外してこう言ったんだ。 「お休み…豪ちゃん…」 「お休み~!」 僕は元気にそう言って、いつもみたいに先生に抱き付いた。すると、いつもの様にヘッドホンが耳から外れて…シナトラの声が、耳から遠ざかってしまったんだ… 「あぁ~あ…シナトラの、エッチな声が聴こえなくなったぁ…」 僕がそう言うと、先生はヘッドホンを枕の脇に置いて…僕の髪を優しく撫でながら優しく聞いて来た。 「…シナトラの何の曲が、気に入ったの…?」 だから僕は、彼の胸に頬ずりしながらこう答えたんだ… 「ブルームーン…」 僕がそう言うと、先生は…得意気にシナトラの真似をして、僕の為に…“Blue Moon”を歌い始めたんだ… 「キャッキャッキャッキャ!」 僕はそんな先生に大喜びして、彼に覆い被さって抱き付いた。そして、薄暗い部屋の中…窓から差し込む月明りに映る彼をジッと見つめたんだ。 先生が瞳を細めてセクシーに歌う様子に、クスクス笑いながら…彼の鼻をツンツンと突いてこう言ったんだ。 「とっても…セクシーだよぉ?」 すると、彼はこう言って僕の腰を抱き寄せた。 「キスして…豪…」 どうしてか…僕は、嫌じゃないんだ。 だから、そのまま…先生にキスをして、こう言った。 「…僕ぅ…先生が大好きだよぉ?だから…変な事で、悲しまないでぇ…?」 「じゃあ…もっと、キスを頂戴よ…」 そんな先生の注文に応える様に、僕は彼の唇にキスをして…そのまま舌を絡めた。 すると、先生の僕を抱きしめる手が強くなって…僕の背中と、お尻を撫で始めた。 でも…僕は嫌じゃないんだ。 だからそのまま先生の頬を撫でて、髪をかき上げながらキスをしてあげた。すると、タイミングが合わなくて…僕は、先生の唇の前でハフハフと唇を動かして…クスクス笑った。 「あぁ…豪ちゃん…可愛いね、大好きだよ…」 そう言って微笑んだ先生が、とってもエッチに見えて…僕は自分のフワフワのパジャマを脱ぎながらこう言ったんだ。 「ちっぱいを…舐めてみるぅ?」 「ふふ…良いの…?」 良いの…? うん…良いんだ。 フワフワのパジャマを脱いで丁寧に畳んだ僕は、先生の上に跨って、彼の顔の上に…自分のちっぱいを近付けた。 すると、首にかけたペンダントのロケットが先生の顔に当たって、先生は眉を顰めたんだ。 「…これは要らない。」 先生はムスッと頬を膨らませてそう言うと、僕の首からネックレスを外して、パジャマの上に丁寧に置いた。 僕は、そんな先生の様子をぼんやりと見つめて…彼にこう言った。 「はぁい…舐めてみてぇ?」 すると、彼の手のひらが僕の背中を撫で上げて、指先でこしょぐって来て… ゾクゾクした僕は、体を逸らして体を捩った。 「んん…こしょぐったぁい…!」 「ふふ…可愛い…」 先生はそう言うと、体を起こして僕に優しいキスをくれた。 それはとっても自然で、柔らかくて…滑らかなキス。 だから僕は…彼の舌に絡まりながら先生の髪を下からかき混ぜて…ボサボサにして、クスクス笑ったんだ。 すると、彼は、僕の腰を抱き寄せて自分の股間の上に乗せた。 それは微かに大きくなっていた… あぁ…惺山、僕は先生が好きなんだ… だから、こんな風にしても、嫌じゃなくて…彼を受け入れてしまう。 先生は僕のちっぱいを手のひらで撫でながら、僕にキスして言った。 「気持ちい…?」 「…はぁはぁ…うん…気もちぃ…」 顔を熱くした僕は…先生に頬ずりしながらそう言った… すると、彼は僕の首にキスをして…そのまま舌を這わせて唇で食んだ。それがとっても気持ち良くって…僕は、体を仰け反らせながら…先生の上で、腰をゆるゆると動かした。 「ふっ…はぁはぁ…んん…あっ…」 抱きしめた先生の髪が、どんどんボサボサになって行くのがおかしくて…僕はうっすらと笑いながら、彼の舌が僕の体を舐めて行く感覚に腰を震わせた。 「先生…先生…気もちぃ…」 「豪…キスを頂戴よ…」 甘くて、穏やかで、温かい…そんな先生の体に包み込まれて、僕はうっとりする様なキスを貰いながら、口から漏れてくる吐息を先生の口に入れて…トロけた。 僕を丁寧にベッドに押し倒した先生は、僕の体を優しく撫でながら…ちっぱいをねっとりと舐めて、口の中に入れた。 「あぁ…ん…はぁはぁ…あっ…あぁ…」 舌で撫でられて、転がされて吸われたちっぱいがとっても気持ち良くって…僕は先生の太ももに股間を押し当てて、ゆるゆると動かしながら…彼の腕に掴まって頬ずりしながらこう言った… 「先生…好き…」 だから…お願い… 彼が、僕から離れても…僕を忘れても、傍に居て… 込み上げて来そうな思いを胸にひた隠しにして…僕は、自分の体を優しく撫で続ける先生の背中を抱きしめた。 僕の股間に押し付けられる先生の太ももも、僕の乳首を撫でる指先も…どれも、全て…気持ち良いんだ。 クラクラする頭の中は…要らない事を吹き飛ばしてくれるみたいに、快感で一杯になった。 「んん…!気もちぃ…はぁはぁ…先生…」 僕は…勃起してしまった股間を自分で撫でながら、先生を見つめてこう言った… 「いたぁい…」 「どれどれ…」 先生は、僕のパジャマのズボンを脱がせると、丁寧に畳んで枕元に置いた。そして、大きくなってしまった僕のモノをパンツの上から撫でてこう言ったんだ。 「あぁ…可愛い…!」 僕のモノは、パンツの上からキスされて食まれるだけで、ビクビクと震えて跳ねた。 あまりの気持ち良さに…僕は、頭の上で眠ってるパリスの毛布をギュッと掴んで、快感に身を捩って足でもがいた。 気持ち良い…快感だ… 「はぁはぁ…あっああん…!はぁ…ん…らめぇ…!イッちゃう!」 先生の口の中に入れられた僕のモノは、ガチガチに硬くなって…今にもイキそうなくらいに震えた。すると、先生は舌でゆっくりと舐めながらこう言ったんだ。 「イッて良いよ…俺の可愛い、天使…」 だめぇ…すっごい気持ち良い…! 僕はパリスの毛布を口に当てながら、うめき声をあげて、堪らない快感に…あっという間にイッてしまった。 先生はエッチが上手なのかな…僕は、トロけてしまうんだ。 彼の手つきにも…彼の声にも…彼の言葉にも…うっとりとトロけて、甘えてしまう。 僕の中に入って来る指も、僕の腰を舐める舌も、全部気持ちが良い…。 撫でられる中も、吸われる肌も…熱くトロけて行ってしまうんだ…。 「はぁはぁ…あぁ…きつい…」 苦悶の表情を浮かべながら、僕の中に入って来た先生は…トロけてだらしなく喘ぐ僕にキスをしながらこう言った。 「可愛い…愛してるよ…俺の可愛い人…」 僕は、そんな先生のキスを一方的に受けながら…彼の甘い言葉と、吐息を…口の中に入れて飲み込んだ… 彼の体が揺れる度に…堪らない快感が押し寄せてくるから…僕は、必死に先生の背中に掴まって…離れてしまわないようにした。 「せんせ…!イッちゃう…イッちゃいそ…はぁはぁ…あっああん!」 「おいで…」 先生はそう言って、トロけた僕を膝の上に持ち上げて座らせた。そして、ゆっくりと中を動きながら…僕にキスをして言ったんだ。 「可愛い…ずっと、こうしてたい…」 汗で湿った僕の顔に頬ずりして、へばりついた髪を指先で退かして、優しくて甘いキスをくれる。僕は、そんな彼の唇を食みながら、朦朧とする瞳で彼を見つめて、快感に溺れて行った。 「はぁはぁ…ん、気持ちぃ…あぁ…せんせ…」 「豪…キスを頂戴…」 快感に震える手で、先生の頬を撫でた僕は、そのまま…彼の唇を食み続けた。 「ふぁあっ…イッちゃう…気もちぃ…はぁあ…ん!」 強く抱きしめられる腰が逃げ場のない快感を登りつめらせて…僕は、また、イッてしまった…。 先生はそんな事お構いなしに…僕にキスをし続けて、息を荒くしてトロけた瞳で僕を見つめた。そんな熱っぽい彼の視線に…僕は、顔を熱くして…頬ずりしながら、無防備に甘ったれてクッタリと体を預けた。 「先生…大好き…大好き…」 だから…お願い… 僕を、ひとりにしないで… #109 「さあ…!北斗!家を建てるぞ!!」 のりちゃんの写真館の前、俺は…12年前の俺とまもちゃんが写った写真を見つめて…過去の思い出に浸っていた。 すると、まもちゃんがスコップを俺に手渡して、こう言ったんだ。 「土を掘り起こすよ!」 発掘作業かよっ!! 彼は、少し…変わってるんだ。リミッターの外れた、おじさんなんだ… やる気だけはいっちょ前なのに、細かく作業し始めるまもちゃんを見つめて、俺は肩を落としてこう言った。 「…人力じゃ無理だ!こういう作業は業者に任せないと…!それにね、建物を建てるには…色々審査があるんだから、個人でやるには限界があるんだぁ!」 すると、まもちゃんは表面の土だけ掘り起こして…やった気になりながらこう言ったんだ。 「節約してるんだぁ!」 …節約。 惺山のコンサートで得たギャランティは、契約だと100万円… 長時間の拘束と、まともにホテルで寝泊まりしていたら…どっこいどころか…足が出る値段だ。 これでも日本では良い方なんだもん…やんなるね。 オケの連中なんて、お小遣い程度の報酬しか貰えないんだよ? 音楽家で食って行く事は、シビアで、過酷で、サバイバルなんだ… しかしながら、今回のコンサートは、満員御礼プラスアルファだった。 契約した報酬プラス、興行収入を加味した特別ボーナスが…付くかどうか… それが、問題だな。 「北斗の…北斗の、パパに…お金を出して貰って、注文住宅を建てよう!」 始まったばかりなのに…まもちゃんはそう言って、しゃがみ込んだ。 きっと、思ったよりも土が硬くなっていて、人力じゃ無理だと思い知ったんだ。 「…パパねぇ…理久しか思いつかない。」 パトロンと呼ばれる資産家たちは、豪ちゃんの出現によって…一気に有象無象の演奏家を手離した。そして、本命のあの子への支援という名の名目で、大金をつんで、何とか接点を作ろうと必死に手を上げてる状態だ… 俺も、もれなく…いくつかの援助停止のお話を受けた。 カルダン氏が援助を断って来たのは…きっと、それ以上の感情が込められていると思うけどね… 豪ちゃんを自分から遠ざける理久に、カルダン氏は相当イラついてんだ。 その見せしめに…俺への援助を断ち切った。 きっと、俺が、理久に泣きついて行くとでも、思ってるんだろうな…。そうすれば、理久が…豪ちゃんを、差し出すかもしれないって…そう思ってるんだ。 あの子をどうにかしようなんて、下心なんて見せるから拒絶されてんだよ…! なんてったって、豪ちゃんは…理久の愛する天使だ。 馬鹿やったな…カルダン氏。 彼は、きっと、二度と、あなたに豪ちゃんを近付けさせないだろう。 「それにしても…理久先生は、っホント…豪ちゃんにベッタリだな。北斗が小さい時でもあそこまでじゃなかっただろ?あんなの…不適切な関係にしか見えないけど…。大丈夫なの…?」 まもちゃんは再びスコップで、地面の表面を堀りながらそう言った。だから、俺はスコップを地面に突き刺して、首を傾げて聞いたんだ。 「なぁにが…?」 すると、まもちゃんは地面を掘りながら息を切らして言った。 「だから…間違いが起こる…5秒前なんじゃないのかって…はぁはぁ、そういう話ですよ!」 「あ~はっはっはっは!!」 大笑いした俺は、まもちゃんに抱き付いてこう言った。 「理久はどうか知らない!でも、あの子が惺山以外の男を受け入れる訳がない!」 すると、まもちゃんは俺をジト目で横目に見て…こう言って来た。 「豪ちゃんは、なかなかどうして…ナチュラルにエロイんだ。北斗が近くに居なかったら、俺だって…間違ってコロッと行きそうだった。無防備に懐に飛び込んできて、可愛い顔をしながら誘うだけ誘って…スッといなくなって行くみたいな…そういう事を自然にするんだよ…。そんなの、ロリコンの理久先生が堪えられる訳ない!」 色々突っ込みどころはあるけれど…言いたい事は分かる。 俺はそんなまもちゃんのジト目に、同じ様なジト目を向けると…しみじみと頷きながらこう言った。 「…例えば、それで…理久があの子を襲ったりしたら、豪ちゃんは、ん、もう…先生なんて大っ嫌い!って言って…彼の元から逃げ出しちゃうよ?それは、理久は、望まないんじゃないかなぁ…?だから、必死に我慢すると思うけどねぇ。」 「甘い!」 そう言ったのは、目をガン開きにしたまもちゃんだ… 彼はしたり顔をしながらこう言った。 「理久先生は、豪ちゃんにべた惚れしてる。だから、庭も畑に変えて…キッチンも新調した。」 「んだ…んだ…」 俺はそんな彼の言葉に頷きながら、まもちゃんの背中に顔を擦り付けて甘えた。 すると、彼は空を見上げながら、こう言ったんだ。 「そうやって…ゆっくりと、徐々に…警戒心を解いていくんだ。そして…いつの間にか、しっぽりと…決めちゃうのさ。それが…大人の嗜みだからね。」 「あ~はっはっはっはっは!!腹が痛い!」 大人じゃないまもちゃんがそう言ったのがおかしかったのと、あの理久が、そんな計画的に豪ちゃんを絆したんだとしたら…それはそれで、おかしかった。 しかも、警戒心なんて…ゼロの、豪ちゃん相手にだ! 俺は、まもちゃんの背中に乗ってゲラゲラ大笑いしてこう言った。 「っほんと!まもちゃんは面白い男だぁ!」 結局、土地を見に行って…少し、追いかけっこをして遊んで帰って来た。 俺は店のテーブルに腰かけてこう言ったんだ。 「今更だけど、資金を調達する必要がありそうだ…」 すると、まもちゃんは、ジャンパーを脱いで、腕まくりをしながらこう言った。 「資金…かぁ…」 ウケる。 とりあえず、復唱するの…止めろ。 俺は笑いを堪えながら、目に力を込めて、まもちゃんに言った。 「建物をまず考えて、音楽教室にかかる諸経費、収入見込み、などなどの事業計画を携えて…誰かに融資してもらう必要がある!」 「めんどくせ…」 次男坊のまもちゃんはぐったりと項垂れて、厨房へと行ってしまった。 しかし、俺は嫌じゃないよ? こういう事を考えるのは、むしろ…好きだ!なぜなら、俺は策士だからね! 「んふふ~!まずはぁ~!建物を考えよ~う!2000万位内で建てられてぇ、2階建てくらいのビルにして…!んふふ!んふふふ!」 そして、俺は新聞の広告の裏に、概算を出して行った。 ひとりで海外を渡り歩いて行くうちに、こんな見越しの予算を計算する事が自然と身に付いたんだ。これは、学校では教えてくれなかった…生きて行くための知恵だ。 「ふむふむ。大体…3000万円必要だな。では、これらを返済出来るだけの理由を…事業計画に盛り込んで、理久に郵送してみよう!」 夢中になって考え込んでいたせいか、あっという間に時間が過ぎていた様で、厨房では、まもちゃんがランチの仕込みを始めていた… ガチャガチャと調理道具がぶつかる、聴き慣れたこんな音も…もうすぐ聞けなくなるのかと思うと、少しだけ、寂しかった。 -- 「コッコココココ…!」 「ん…ぁあ…パリスゥ、僕はぁ、もう少し寝てるねぇ…」 僕の髪をついばんで怒るパリスを抱きしめた僕は、彼女の背中を撫でながらベッドに顔を突っ伏した。 「クォッ!コッコケッコ!」 「いたぁい!ハゲるぅ!」 鋭い彼女のくちばし攻撃に、僕は渋々体を起こした。 そして、何も着ていない自分の姿に呆然として、隣に眠っている先生を揺すって言ったんだ。 「先生?僕…パンツいっちょで寝てたぁ…」 「…あぁ、そこに…畳んで置いただろ…」 先生は寝ぼけた顔でそう言って、僕の枕元に畳まれたパジャマを指さした。 「本当だぁ…」 僕は鳥肌の立つ体に、ネックレスを付けて、冷たいフワフワのパジャマを着こんで、ベッドから降りた。そして、よろけながら、プリプリ怒ってるパリスの後を追いかけたんだ。 あぁ…そっかぁ… 昨日、僕は、先生と、また、エッチしちゃったんだ。 「さっむ~~い!」 テラスに出たがるパリスの為に大きな窓を開いた僕は、顔に当たる風にフルフルと体を震わせてパリスに言った。 「お部屋の中で食べてぇん!」 「コッコココッコ!!」 私は外で食べたいのよ…そう言っている気がして、僕は仕方なく…テラスに出てパリスのご飯をエサ入れに入れてあげた。 「ガウンを着なさいよ…」 いつの間にか現れた先生は、そう言って、しゃがんだ僕の背中にガウンを掛けてくれた。そして、テラスの椅子に腰かけながら寒空の下…ぼんやりと畑を眺めたんだ。 この寒さは…雪でも振りそうだぁ…! 僕は、裸足のまま先生に駆け寄ると、彼の膝に座って冷たくなった足の裏を、彼のお腹に付けた。 「はぁ~~~~っ!」 「キャッキャッキャッキャ!」 大絶叫をする先生の顔を見てケラケラ笑った僕は、そのまま彼に抱き付いて…体を縮こませて言った。 「寒い~~!」 すると、先生はクスクス笑いながら僕の髪にキスをしてこう言ったんだ。 「12月だからね…寒いさ。雪も降るし…寒いさ。」 「雪ぃ~?」 僕は首を傾げて先生を見つめた。すると、彼は僕の鼻にキスをしてこう言ったんだ。 「予報では、クリスマスは雪が降るそうだ…」 わぁ…! 「積もるぅ~?」 「どうかな…」 山の中のせいか…僕の故郷では、12月も早々に雪が降り始めるんだ。 そして、気温が低いせいで、一度降った雪はなかなか溶けなかった。 だから、道路はアイスバーンになって、しょっちゅう交通事故が起きていたんだ。 「ん…大ちゃんはね、すぐに僕の服の中に、雪を入れるんだぁ…」 先生の胸に頬を付けてそう言うと、彼は僕の足の裏を手で温めながらこう言った。 「統計すると…大ちゃんはダメだな。」 ふふ… 「でも…優しいんだよ…」 僕はそう言って笑うと、先生に頬ずりして彼の首に顔を埋めた。 安心するんだ。 彼の傍に居ると、とっても…安心する… お父さんって…多分、こんな感じ。 視線の先に見えるキッチンを眺めながら、僕は足の裏をヒョコヒョコ動かして、先生の手のひらを叩きながら…クスクス笑った。 そして、思い出した様に目を丸くして…体を起こした。 「はっ!朝ごはん、つ~くろっと!」 僕は急いで籠を手に取ると、畑へ向かった。 裸足にサンダル姿の僕は、ガウンを引き摺らない様に持ち上げて、芽キャベツを収穫した。 ゴードンさんが教えてくれた。 キャベツは、寒くなってから植えるんだって… だから、育ちが悪かったのかな…? キャベツに失敗した僕に、ゴードンさんは、芽キャベツの苗をくれたんだ。 一緒に10月に植えて…今が、丁度、収穫時なんだ。 「ヨイショ、ヨイショ。」 後は…カブとチコリも植えた。 カブはとっても大きくて、チコリは、さっぱりして美味しいんだ。 害虫被害もなく…秋に植えたお野菜は、綺麗なまま育った! 「大漁~大漁~!」 大満足な様子でニコニコとテラスに戻った僕は、先生を見つめて、チコリの葉っぱの匂いを嗅いで首を横に振って言った。 「ん~!良い匂い~!」 今日の朝ご飯は…美味しいキノコの炊き込みご飯と、焼きチコリ、芽キャベツのお味噌汁。そして、カブのぬか漬けだ。 「はぁい…たくさん食べてねぇ…?」 いつの間にか食卓にやって来た先生の目の前にお味噌汁を配った僕は、いそいそとぬか漬けをテーブルに出しながら、椅子に座ってこう言った。 「焼きチコリ!美味しそうだと思わない?」 まるで、タケノコの赤ちゃんみたいな見た目は…僕の食欲をとってもそそった! 箸で摘んだチコリを先生に見せながら、僕は得意げにこう言った。 「タケノコの赤ちゃんみたぁい!」 すると、彼は口を開いてこう言ったんだ。 「あ~ん…」 まぁったく! クスクス笑った僕は、そのまま焼きチコリを甘えん坊の先生の口の中に入れてあげた。 「ん…美味しい…」 先生は、すぐにそう言って、瞳を細めて笑った。 やっぱりね…! チコリは、焼いても美味しい奴なんだ!

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