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災難
大学までは、蒼が車に乗せてってくれたおかげで、快適に登校できた。
僕も車、運転できるようになりたいなぁ。
講義室で1限の準備をしているとある女子が「今日、小坂くんが車に誰か乗せてた!」小坂…って蒼のことだよね…
じゃあ車に乗ってたのは僕じゃん!
どうしよ…
「誰か突き止めてやる」とか「そいつ許せないんだけど」とか色々恐ろしいことを言いてる。
ごめんなさい。その相手、僕なんです。安心してください。って今すぐ叫びたいけど、怖くて無理…
居候してるって知られたら、男の僕でも殺されるかも…
なおさら、早くバイト見つけなきゃ…
「ね〜、事件!やばい、絶対驚かないでね!」
次は何?女子の日常って事件しかなさそうじゃん…
「今日、道明寺くんが来てるらしいの‼︎」
ど、道明寺くんってあの道明寺春陽くんのことなの⁉︎
てか、女子の話盗み聞きしてる僕って、結構やばいよね…
でも聞こえちゃうんだから仕方ないじゃん!
道明陽くんは、日本最大、道明寺財閥グループの御曹司。
頭良し、顔良し、性格良し、多才で運動、ヴァイオリン、絵画、なんでもできてしまう上に高校生の時から父親の会社をサポートし、メディア露出も多かったらしく、今では大学生にして、社長補佐という大役を務めている。
THE完璧な人って感じで、男の僕ですらかっこいいって思ってしまうぐらいだから、きっと女子にはもっと輝いて見えるのだろう。
蒼も女子の人気がすごい。蒼も頭良し、顔よし、性格良しの多才でスポーツ万能。父親はパイロット、母親は弁護士とスーパーエリート家系だし…
とりあえずこの2人はこの大学で1番モテるハイスペックな人たち。
どうしたら道明寺くんや蒼みたいな、すごい人になれるんだろう…
僕なんて、顔は女っぽいし、チビだし、運動もできない上に、貧乏で家もない…
なんか、悲しくなってきた…
そんな不毛なことを考えていたら、もう夕方になったらしく、日が沈みかけていた。
やばい!教授にいいバイト先ないか聞かないといけないのに…
急がなきゃ!
「櫻井くん、これ、泉助教に渡しといて〜よろしく〜」
「え、ちょ、ちょっと待って…」
誰なんだあの子。すごい嵐のような子だったな…
ってやばい!
泉助教は今日1日、D棟にいるって言ってたから、教授と真反対のところにいるってことじゃん。
でも、教授は早く帰ることが多いらしいし、このプリントの提出期限は今日だから、もし出し遅れたら僕のせいで単位人がいるかもしれないし…
ああ〜、こんなことになるなら、頑張ってちゃんと断ればよかった。
でも断れなかったのは、僕の責任だし、まずは確実にこのプリントを提出しよう。
もう、人も少なそうだし、走っても大丈夫だよね?
「よし!行こう」
ここからD棟までは、そこまで遠くないから大丈夫なはず。
てか、このプリント結構量あるな〜。
これは女の子運ぶの大変かもしれないな。僕もそんなに力ないけど…
運んで、まだ時間がありそうだったら、教授のところに行ってバイトについて聞こ
ドン
あっ、やばい。ぶつかっちゃた…ごめんなさい…
「ごめんなさい。大丈夫ですか?前見てなくて…」
「全然大丈夫ですよ。こちらこそすみません。こんなに荷物があったら大変ですよね」
なんて優しい人なんだろう。
「これ、落としたやつです。結構量ありますね。運ぶの手伝いますよ。」
「いいんですか⁉︎すいまs…
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