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そんな失礼な事を考えてしまったものだから、ことの真相が気になり、疑問をまんま口にしてみた。
「別に、良いですけど。
でも仕事の方は、大丈夫なんですか?
もしかして役員なんて名ばかりで、西園寺さん、暇なの?」
なのに彼は、嬉しそうに笑って頬を紅潮させた。
うん。今日も今日とて、やっぱりキモい。
……あと、ちょっとこわい。
ドン引きする僕に気付いているのかいないのか、笑顔のままいそいそと後部座席側のドアを開けてくれながら西園寺さんは答えた。
「嬉しいよ、陸斗くんが俺の心配をしてくれて。
まぁ、大丈夫‥‥‥では、ないけど。
でも時間を作る方法なんて、いくらでもあるからね。
例えば、眠る時間を削ったりとか」
軽い口調で言われたその言葉にびっくりして、ちょっと厳しい言い方になってしまった。
「はぁ!?寝る時間を、削るって‥‥‥。
僕のためなんかに時間を使わず、夜はしっかり寝て下さい。
って言うか‥‥‥ちゃんと、寝ろ!」
年下の僕に罵倒にも近い形で言われたと言うのに、西園寺さんは何故かますます上機嫌になってしまった。
「やっぱり君は、優しいね。
でもホント、大丈夫だから。
だって陸斗くんに会えない方が、俺としては辛いもの」
その発言に、不覚にもキュンとしてしまった。
‥‥‥ほんの、一瞬だけ。
だけど僕のせいで仕事に当てるべき時間を、無駄にしているのだとしたら。
そしてその結果、本来ならば睡眠を取っているはずの時間を、失っているというのならば。
‥‥‥さすがにそれは少しだけ申し訳ない気がしたし、彼の体が心配になった。
「優しいとかじゃ、無いですから。
ちゃんと僕の話、ホントに聞いていました?」
シートベルトを絞めながら、バックミラー越しに彼の事を軽く睨み付けた。
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