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 何度やっても勝つ事が出来ず、ついムキになり勝負を挑み続ける僕に呆れる事なく、終始余裕な感じで楽しそうに相手をしてくれる西園寺さん。  それが余計に悔しかったから、自然と唇が子供みたいに尖ってしまう。 「ほら、西園寺さん。  早く次の罰ゲーム、決めて下さいよ!」  子供の頃の写真を寄越せだとか、モーニングコール代わりにおはようボイスを録音させてくれだとか、語尾ににゃんを付けて五分間猫語だけで話して欲しいだとか。  どうせ今度もそういった下らないけれど変態じみた、気持ちの悪い要求に違いない。  そう考えたから、苛立ちながら急かした。  すると西園寺さんはクスクスと楽しそうに笑い、告げた。 「じゃあ、そうだなぁ……。  陸斗くんに、いっぱいキスしても良い?」  僕の唇に、軽く触れた彼の指先。  それに驚き、体がビクッと強張った。 「ここは、除外してあげる。……今はまだ、ね?」  ゆっくりとその指先は僕の唇の形をなぞり、それからスッと離れた。 ***  ソファーに横並びに座った状態で抱き締められ、首筋や耳元、頬や目蓋に、何度もキスを落とされる。  そんな真似を誰かにされるのは初めての経験だったからめちゃくちゃ恥ずかしかったけれど、不思議と不快感は無かった。  だからされるがまま、これは罰ゲームなんだと何度も自分に言い聞かせながら、羞恥とくすぐったさに耐え続けた。  しかし時間が経つにつれ、その感覚はただくすぐったいだけではなく、官能的な疼きを僕にもたらした。  自然と乱れる、呼吸。  未知の感覚に堪えられなくなり、気が付くと彼の背中に腕を回し、すがり付いていた。  だけどしばらくすると西園寺さんは、突然キスを止めた。  そしていつの間にか溢れ出していた涙を、彼はそっと指先で拭ってくれた。

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